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公開日:2023.11.16
現代美術家大谷有花さん
『創造』の世界 描き続け
市民ギャラリーで追悼展
第一線で活躍しながらも大病と闘い、今年3月に45歳で亡くなった、現代美術家・大谷有花さん(緑区出身)の追悼展が現在、市民ギャラリー(中央区相模原)で行われている。「キミドリの部屋」や「ウサギねずみ」シリーズで知られ、創造の世界を描き続けた大谷さんの半生とは。
絹谷幸二賞を受賞
大谷さんは1977年生まれで、多摩美術大学大学院卒。学生時代から数々の油彩画を発表し、新人作家の登竜門とも呼ばれるVOCA奨励賞や絹谷幸二賞などに輝き、その才能を開花させた。
「黄緑色の絨毯が敷かれた子ども部屋が創造の原点」と生前に語っており、黄緑は大谷さんにとって『創造』を意味する重要な色。空間そのものを絵画として表現する『キミドリの部屋』、その部屋で創造力を食べる架空の動物が登場する『ウサギねずみの対話』は代表作といえる。
2007年から大谷さんと親交のあった市の美術専門員・柳川雅史さんは「彼女は色に意味を込めた。キミドリの中で成長し成長と共に他の色を知る。色彩は成長の証だった。ウサギの臆病さとねずみの狡猾さを併せ持つ『ウサギねずみ』は僕らにさまざまな物語を伝えようとしている」と語る。
13年に秋田へ移住し、秋田公立美術大学で教壇に立つと画風が一変。黒を基調に花一輪、そんな絵を描いた。その花は力強く、静かな生命力に溢れている。柳川さんは「彼女にとって黒は『可能性』。その中に『有る花』。それはまさしく彼女そのもの」と説いた。
19年に白血病を発病し、3年以上にわたる闘病の末、今年3月31日に亡くなった。実家で両親に話を聞くと「寛解した時期もあった」という。母親は「いつも絵のことばかり考えている娘だった。治ったら絵本でも書きたいと言っていたのに」と目を潤ませた。
「小さな追悼展」
大谷さんの足跡をたどる「小さな追悼展〜ウサギねずみとの最後の対話〜」が12月3日(日)まで、相模原市民ギャラリー(中央区相模原1の1の3セレオ相模原4階)のアートスポット(ミニ展示コーナー)で開催されている。午前9時から午後5時まで。無料。問い合わせは相模原市民ギャラリー(水曜休)【電話】042・776・1262。
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