能登半島地震の発生により地震対策が改めて見直される中、建物を倒れにくくする「耐震改修工事」への注目が高まっている。耐震に関する取り組みや現状について、相模原市建築政策課耐震推進班に取材した。
同班によると、1981年5月31日以前に建築確認を取得した建物は「旧耐震基準」によるため、耐震性が不十分である可能性があるという。
市は2008年に「相模原市耐震改修促進計画」を策定し、2016年に「新・相模原市耐震改修促進計画」を策定して取り組みを進めてきた。2022年にはより計画的かつ重点的に耐震化を推進するために「第3次相模原市耐震改修促進計画」を策定。2030年までに耐震性が不十分な住宅・特定建築物をおおむね解消することを目標とし、さまざまな施策を実施している。
市内の耐震化率は2014年度時点で住宅が89・4%、特定建築物が93・8%だったが、2021年度時点で住宅が94・3%、特定建築物が94・8%と上昇した。
課題は自己負担
市は耐震化の課題について「自己負担額の問題が大きな障害となり、耐震助成制度の利用件数が減少傾向にある」と分析。情報提供や意識啓発に加え、より実効性のある助成制度による支援が重要としている。特に木造戸建住宅の耐震化率が低い傾向にあり、重点的に耐震化を推進する必要があるという。
また同班では特に高齢者への啓発を課題に挙げ、市内の対象者に毎年6000通のダイレクトメールを送信して耐震の必要性を周知している。
相談件数が増加
市は「自宅の無料耐震相談会」を市役所などで開催し、建築士による図面を使った簡易な耐震診断や、補助制度の説明など、耐震に関する情報を伝えている。相談件数は昨年度が33件、今年度が1月18日時点で46件と増加。また電話による問い合わせは今年に入ってから地震の影響を受けて増加しているという。
同班は「今後は相談会をさらに手厚く実施し、市民の地震に対する不安を払拭したい」と話している。
また市では耐震補助制度により住宅の耐震化を支援している。木造住宅を対象とした無料の窓口簡易耐震診断では、職員や耐震相談員とともに自宅に点数をつけて評価する。耐震診断士が自宅を訪問し、現地調査をする有料の「現地耐震診断」を受ける場合には最大12万円を補助。さらに、耐震改修計画書を作成し工事を行う際には、上限100万円を補助する(合計費用の2分の1以内)。高齢者世帯などには上限25万円の加算がある。
補助制度の対象は旧耐震基準の戸建住宅で、建物を所有し自ら居住する人、または居住する1親等の親族であれば申請可能。制度利用には事前申し込みが必要。
そのほか「耐震シェルター及び防災ベッドの設置補助制度」や「危険ブロック塀等の撤去奨励補助金」も整備しており、同班で問い合わせを受け付けている。
担当者は「古い建物にお住まいで不安があるようであれば、ぜひ気軽に相談を」と呼びかけている。問い合わせは建築政策課耐震推進班【電話】042・769・8252。
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