町田版 掲載号:2018年1月4日号
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宮司の徒然 其の35 町田天満宮 宮司 池田泉

「神饌」

 神饌(しんせん)――。神様へのお供え物。神棚や仏壇、日本ではあたかも人間のように親しみをもってもてなす。よって神饌も季節の物を供えることで、神様に旬の物を味わっていただく。神様はそのもてなしの心を味わい、エネルギーとして取り込んでくれる。つまり神様は食べ残して、神様の次にいただける光栄を与えてくれる。

 正月の鏡餅も鏡開きの後に食べることで、新年の福徳をもたらしてくれた歳神様のお下がりをいただいて一年の活力にするという意味がある。石川県では厄年祓いに際して鏡餅を神前に捧げて持ち帰り、親類縁者や近所の人を招いてごちそうと共に餅を振る舞う風習があると聞いた。神様のお下がりをいただいた上に、人と人とのコミュニケーションをも深めるという見習いたい行事だ。

 神饌には合理的な順位がある。稲作が日本民族を狩猟と放浪生活から農耕と定住生活へ移行させた。よって米がトップで、魚介、海菜(ワカメ、昆布など)、野菜、果物と続き、これらを使った加工品はそれぞれの間に挟まる。ただし海老を混ぜた煎餅などはなんとも判断が難しいから、菓子として一括りして最下位か。しかし、必ず最後には欠かすことのできない塩と水がくる。餅は真ん中に飾りたいところだが、米に手が加えられているから、米がある場合には2位となる。酒も加工されているから米や餅の次になるが、最近の飾り方は見た目重視なのか餅や酒が真ん中の場合が見られる。また、置き方にもルールがある。理由は忘れたが、海の魚は腹を川魚は背を神様に向ける。野菜は畑にある状態、つまりレンコンや芋類は一番下に、次にニンジン、ゴボウ、大根など地上すれすれにあるもの、後はおわかりだろう。地面から離れて行くから、キャベツ、キュウリ、ピーマン、サヤエンドウという具合に積みあがる。自然の状態に近い順番だ。しかも、日本は神様のイメージをより人に近いものとして捉えてきたから、供える物は美味しい方を神様に向けて差し上げる。海の物の中でも伊勢神宮などでは毎朝夕に行なう朝御饌と夕御饌で、必ずひも状にして干したアワビが捧げられる。我々一般にはのしアワビと呼び、かつては結納品の一品や贈答品としていた。これが現在の紅白の熨斗袋の右上に付けてあるもので、今やそのまま絵になっているものもあるが、中央に通っている薄茶色のものがのしアワビを簡素化したものだ。

 一方で一般家庭では塩、米、酒、水を基本として、仏壇同様に初物があれば真ん中にドンと置いても心情的には間違いとも言えないし、仏壇と神棚にクリスマスケーキをそれぞれ供えても、外国人がバカにしようが日本だから良しということもある。大ピンチのときにざっくりと素直に「神様、仏様―!!」と懇願する日本人なんだし、縛られすぎないのも日本人の良さなのだから。「初物」という言葉だけでも飽き足らず、神前に供えることで「神様のお下がり」という調味料も加えるのは、精神的なレベルが高いと評したら聞こえはいいが、気分屋さんと言われればそれまで。

 このイチゴもそれ。神様のお下がりをいただくありがたさもプラスされて格別美味しく感じるのは、人よりも少し信仰心がある私だから。イチゴはヘタを取ったらヘタ側の方から食べて、最後に尖った甘い部分を食べると後味が良いとテレビ番組で報じていたし、ヘタに近い白い部分の方が栄養価が高いらしいが、丸ごとパクッといく私には関係ない(笑)。神様に供えるときはとんがりを向けて差し上げよう。言うなれば神様は美味しい方を勧める人間の気持ちが栄養であるし、神様の口が私ほど大きいとは限らないから。
 

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