30日まで「時代裂のキルトアート展」と題し地元で初の個展を開いている つるた 聰子さん 南大谷在住
時代裂の持つ物語を紡ぐ
○…青山や銀座などの都心をはじめ全国各地で個展を開く。さらにケルン、ミラノ、パリ、プラハなど海外での展示会も数多く手がける。町田に暮らして20年以上――地元で初となる今回の個展に「これまで縁がなかったのは不思議だけど、作家として円熟味を増したこの時期に開催できるのは嬉しい」と口にした。
○…キルトアートを始めて36年。素材は自ら歩いて集めた江戸後期〜昭和初期の着物などに使われている古い布地=時代裂(ぎれ)。これをパッチワークの手法で丹念にはぎ合わせる。新しい生命を与えられた作品は優美で気品が漂い、歴史と時代の凝縮を物語る。「時代裂には美しさ、雅さ、素朴さがある。現在の布にはないもの」。着物として形があるものにはハサミを入れないのが自分の中のルール。小さな端切れをこつこつと集め、そのコレクションは生涯使いきれないほどになった。
○…自然体でありながら相手が心地良く感じる立ち振る舞いと話し方。洋服を素敵に着こなす一方、幼いころから着物に親しみ、少し前までは1年のうちの半分を着物で過ごした。「会期中は在廊し、着物でみなさまをお迎えします」
○…今回の注目作品、町田の「絹の道」をテーマに制作した3メートルの大作には幕末から明治の江戸ちりめんだけを使った。草木で染めたものが多く、たおやかな美しさと穏やかな色合いが作品を彩る。使われている赤は紅花と茜で染められている。本来の色に手を加えるようなことはせず、紙のように薄い布を丁寧につなぎ合わせた。自身の起こした図案を基に、気の遠くなるような作業からオリジナリティあふれる作品が生まれる。「古いものの良さを現代の感性の中に新しいものとしてよみがえらせる。美しいものを美しいまま見せたい」
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