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掲載号:2020年6月18日号

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受難の時

 終息の見えない未知のウイルスのまん延で、世界は受難と忍耐の時を迎えた今年。一方、草木は季節に呼応して淡々と営みを停めず、みずみずしい新緑は目にまぶしく、夏に向けて勢いを増し、色とりどりの花は意中の虫を誘おうと精いっぱいに開く。人間本位な視点だと皮肉にも思えてしまう変わらぬ営みが、今は不思議とうらやましくも感じたりする。さらには外出するマイカーも減り、経済が鈍化して空気も若干綺麗になっているから、草木は何らかの異変にも気づきながら喜んでいるのかもしれない。

 ただし、草木にも一喜一憂はある。以前にも述べたようにイベントや卒業・入学式、退社・入社式が自粛されて、花束などになる予定の大量の生花は行き場を失った。反対に引きこもり生活のための鉢植えや家庭菜園が増加する傾向も。そして、受難の時を迎えたのが公園の芝生とそれに紛れる日向を好むタンポポやシロツメクサ、スミレ類などの雑草たち。ストレス軽減のために家族連れが訪れる自然公園。例えば私がしばしば出掛ける都立小山田緑地公園などは、平日でも駐車場は満車状態。公園の草木は今まで土日祝日だけ耐え忍べば、平日は人の少ない穏やかな時間を過ごせたが、今年は平日であっても学校が休みになっている子供たちが走り回り、芝生にレジャーシートを広げておしゃべりする親たちでにぎわっていた。コケリンドウとフデリンドウが自生している芝生の斜面の様子伺いに立ち寄った私は、駐車場入り口から即座に退散。どうかリンドウが無事なことを祈るのみ。

 公園の芝生が辛い一方で、近年芝生化が進んでいる市内小・中学校の芝はやれやれ。休校でのびのびとしていることだろう。こう考えると植物もあながち影響が全くないとは言えないし、人間が多い場所はそれなりにということか。今年はおそらく、近隣の公園には四つ葉のクローバーが多くなる。シロツメクサは生育中に葉の元となる部分にダメージをくらうと、本来三つ葉だが4枚になったり5枚以上になることもある。平日もにぎやかな今年の公園はダメージ受け放題。四つ葉が増えるのがいいのか悪いのか微妙だが、草木も平常時の方が落ち着くのかもしれない。ましてや人間は今、病に伏した時に健康のありがたさを知るように、何でもない普通の日々がいかに幸せだったかを思い知らされている。落ち着いて耐えよう。諦めは許されない試練を与えられているのだから。
 

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