男女別に募集定員を定めている都立高校(全日制・普通科)は来年、全校(現在は110校。来年は109校)で初めて定員のおよそ1割を性別に関係なく選考する形をとる。今年の入試試験では42校がこの形式を実施したが、「性別が合否に影響することは平等ではない」などの声を受け、検討が進められてきていた。
主管する東京都教育委員会が9月に発表した。
都立高が生徒を男女別に募集し始めたのは1950年度。この年から共学となり、男女の生徒数を均等にすることなどを目的に各校で性別ごとの定員が設けられることになった。
以来、他の道府県の高校が性別に関係なく、学力テストなどの成績に応じた入試試験に移行していくなかでも都立高では男女別が採用し続けられてきたが、性別による合格最低点の格差を是正することなどを目的に98年度に都教委は「緩和策」を導入。定員の9割に相当する生徒を男女別で選考したうえで、その他のおよそ1割を性別に関係なく学力テストなどの成績で合格者を選ぶ形が現在まで続いてきた。
都教委の担当者は「緩和策はそれぞれの学校の状況に応じて実施されてきた。今年の入試では42校が緩和策を採用したが、交渉を続け来年は全校で初めて実施することになった」と話す。
改善求める声
男女別定員制への改善を求める声は少なくないようだ。今年開かれた都の入試試験に関する検討会でも、「一人ひとりの能力で選抜する方法が適任」「性別で合否が異なることは平等な制度とは言えない」などの声が生徒を送り出す側の中学校校長から挙がったとされ、多摩市内の中学校に子どもを通わせる40代男性は「うちの子は来年受験だが、性別によって条件が異なるのは違和感がある。男女格差を失くそうという今の風潮にもあわないと思う」と投げかける。
「廃止」を検討
一方で、都教委は男女別の廃止に向け、検討を始めている。性別に関係ない選考を来年2月の「1割」を皮切りに、第二弾として2割。そして、最終的には性別による定員制を失くしていく考えがある。
ただ、今年度の合格者から検証した場合、男女別の定員制が無くなると女子生徒の割合が多い普通科の学校が増えるといった話もあり、一気に男女別制の廃止へと移行できないのが現状だ。先の検討委員会では外部有識者らからは性別に関係ない入試に向け、「私学側との協議を十分に進めておく必要がある」などの声も挙がっている。
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