町田 教育
公開日:2023.09.14
命の大切さ 絵本で伝える
町田市内中学校で 作家ら読み聞かせ
絵本の読み聞かせを通して命の大切さを伝える授業が9日、町田市立金井中学校で行われた。講師には絵本作家の夢ら丘(むらおか)実果さんらが招かれ、生徒や来場した保護者らに語りかけた。この日、取り上げられたのは夢ら丘さんが絵を担当した「カーくんと森のなかまたち」。自分の声や姿に自信が持てずにいたホシガラスの「カーくん」が先生や友人に温かい言葉をもらい、元気を取り戻していく物語で、読み聞かせの後は夢ら丘さんが経験したいじめ、知人の自殺の話について生徒たちと対話しながら、命の大切さを伝えた。
夢ら丘さんは「自分の良いところ、得意なことを大切にしてほしい。そしてそれを、褒め合ってほしい」と語りかけた。
「続けたい」
夢ら丘さんは、予防医学教育の重要性を説いてきた聖路加国際病院の元理事長、日野原重明医師の遺志を引き継ぎ、命の授業を続けている。2007年の9月10日「世界自殺予防デー」に出版された「カーくんと森のなかまたち」をもって全国の幼稚園や小学校、中学などを回り、6日には市内の真光寺中学校でも読み聞かせを実施。その数は今年7月で千回を迎えたという。
夢ら丘さんは「読み聞かせの感想に、自身の境遇や悩みを吐露する生徒が多かったように感じる」と話し、コロナ禍以降、高止まりが続いている子どもたちの自殺者数に対して、「カーくんと森のなかまたち」の文を担当し、夢ら丘さんと共に各地をまわっている吉沢誠さんは「深刻な状況。命を大切にするための予防教育を続けていきたい」と力を込める。
9月10日から1週間は、自殺予防週間。「心の病気の悪化、自殺を防ぐためにも、読み聞かせを通して啓発を進めていきたい」と夢ら丘さん。厚生労働省によると、2022年における小中高生の自殺者数は514人で過去最多となっている。
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