町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の133
今年もキンモクセイが二度咲きした。二度目の方が花つきが良いのは、寒暖差の幅が関係しているのかもしれない。それにしても二か月も空けないで二度咲くというのはどういうことなんだろう。
江戸時代、中国から持ち込まれたモクセイは白花のモクセイ。雌雄異株だが持ち込まれたのは雄株だけだった。だから種ができることはないが、挿し木で容易に増やせるため、瞬く間に本州以南で広まった。やがて黄色い変種が現れ、今や日本国内で定番になっているモクセイは黄色いモクセイとなっているが、本家本元はギンモクセイ。そもそもモクセイといえば白で、変種のモクセイが黄色だったから、金銀に見立てたがる日本人は白花がギンモクセイ、黄色をキンモクセイとしたのだろう。変種には薄い黄色の花もあり、ウスギモクセイという名までついている。境内稲荷社脇にモクセイが二株あり、本家の地位を奪ったキンモクセイに隠れるようにあった一株が、今年は2回目の開花でたくさん花をつけた。それがなんとウスギモクセイのようだ。挿し木だったのだろうか。てっきり隣のキンモクセイの根から出たものだと思い込んでいた。国内では雌株がないから種はできない。つまり鳥の爆弾でもない。不思議だ。ただ予定外にバリエーションが増えたし、ウスギモクセイはキンモクセイより芳香がやさしくていい。大歓迎だ。ギンモクセイも同様に香りが少ないらしい。変種は色だけでなく香まで強くなったのか。これも不思議だ。
日本ではキンモクセイが本家のような顔をしているが、すっかり秋の香りとして溶け込んでいるから問題なしだが、もはやソビエト連邦でなくなったロシアが本家のような振る舞いで旧ソ連の国に侵攻して、欧米に対抗するための国盗りを始めるなんて、なんて愚かなことだろう。しかも同族で。それも全国民が指示しているわけではない。だがパレスチナとイスラエルは複雑だ。遠い昔から絡み続けてきた領土や宗教の問題が、すっかり修復を困難にしている。米・中・露が不安定な時代、機能しない国連。色は違うし、結実することはなくとも、傷つけ合うことは避けられないか。宮城の塩竈神社社殿両脇にはキンモクセイとギンモクセイの巨木が一対で並ぶ。当社にもキンモクセイに隣り合わせてウスギモクセイが並んだ。種を作らずとても、仲良く育つようケアしていこう。
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宮司の徒然 其の135町田天満宮 宮司 池田泉11月30日 |
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11月30日