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公開日:2026.09.24

市内在住松田夫妻 陸上世界大会でメダル 負傷乗り越え、2人で5個

  • 金4個、銀1個のメダルを掲げる松田夫妻

    金4個、銀1個のメダルを掲げる松田夫妻

 市内在住の松田吉雄さん(85)・瑞江さん(80)夫妻が今夏韓国の大邱(テグ)で開催された世界マスターズ陸上競技選手権に出場。吉雄さんが負傷するアクシデントもあったが、夫婦合わせて5個のメダルを獲得した。

 同選手権は18歳から5歳刻みの年齢別クラスで陸上競技各種目を競う大会。吉雄さんは85〜89歳のM85クラスの長距離走5000メートルで銀メダルを獲得。瑞江さんは80〜84歳が出場するW80クラスで、中距離の800メートル、1500メートルと長距離の5000メートル、さらに野外コースを走るクロスカントリーの4種目全てで金メダルを手にした。

猛暑でのレース

 吉雄さんが出場したのは大会の第1レースとなった5000メートル。スタート時から気温はぐんぐん上昇し、猛暑の中でのレースとなった。序盤、中盤は快調。しかし、タイムロスを惜しんで給水を取らなかったことなどが影響しゴール直前で転倒してしまう。それでも、審判に支えられながらゴールし、目標だったメダル圏内に入った。

 ただ、転倒時に縫合が必要なほどの傷を顔面に負い、そのまま救急搬送されることに。他の種目も出場予定だったが、ドクターストップにより断念した。「出ていればもう1個メダルを取れたかもしれない」と悔しさをにじませる。

 瑞江さんは自身のレースを目前に控えつつ、夫の救急搬送に動揺したという。それでも親族に付き添いを任せ、「私ががんばった方が夫が喜ぶ」と信じて全てのレースを走り切った。中でも気温が上がった時間に行われた5000メートルでは、1周ごとに頭から水をかぶって暑さをしのいだという。吉雄さんは自らが搬送される際も「せっかく来たのだから、走ってもらいたい」と瑞江さんの同乗を求めなかった。瑞江さんが獲得した4個のメダルを前に「走ってくれてよかった」とほほ笑む。2人は結果以上に「夫婦で出場すること」に価値を置いているという。

闘病で介護も覚悟

 40年以上前、先に走り始めたのは瑞江さんだった。34歳で地元のクラブに入会し、初めて出場したマスターズ大会で日本新記録を出して優勝。フルマラソンも初挑戦で優勝するなど、次々に結果を出していった。「メダルや新記録がうれしくてはまってしまいました」と瑞江さん。国内外の陸上大会で獲得したメダルは500個を超え、「もう数えるのをやめた」ほど。

 一方、吉雄さんが走り始めたのは30代後半。肩を痛めゴルフをやめたのをきっかけに自らも走り始めると、1年で62キロから50キロへと12キロ減量。「痩せるとタイムが速くなり、のめりこんでいきました」。走ることの楽しさを共有できるようになり、夫婦ペアや家族で大会に出ることも増えていった。

 試練が訪れたのは吉雄さんが67歳の時。くも膜下出血で倒れて緊急入院。一時は言葉を失い、瑞江さんは介護生活を覚悟した。それでも吉雄さんは「また走りたい」という一心でリハビリに励み、筋力低下を防ごうと退院後は病院までの7キロの道のりを夫婦で歩いた。そして、努力の甲斐あって、2人で再び走れるように。夫婦の絆が深まることになり、この時の経験によって、瑞江さんのなかの「走る目標が変わった」のだという。走り始めたころは、記録や金メダルが目標だったが、今は「夫と2人で走ること、2人でがんばっていくことが目標」と話す。今、目指すのは2年後、オランダで開催されるマスターズの世界大会。「また2人で出場してメダルを取りたい。2人で走れば喜びが倍になる」。松田夫妻の伴走はまだ続いていく。

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