胃がん予防を目的として、若い世代へのピロリ菌検査に力を入れている団体がある。「NPO法人二十歳(はたち)のピロリ菌チェックを推進する会」、略称「ハタピの会」は旭町のおなかクリニック院長の村井隆三さん(同法人代表理事)が中心となり2014年7月に設立。行政や企業の健保組合が行う胃がん検診は「40歳から」がほとんどだが、ピロリ菌感染者は胃がんになる確率が高いこと、また「次世代への感染をブロックする」意味合いも含め、同会では「二十歳になったら検査を」と呼びかけている。
NPO 活動1年
村井代表理事が自身のクリニックが10周年(2015年5月)を迎えるのを機に、「何か社会貢献事業を」と考え14年5月、八王子市内をはじめとする消化器内科医師ら11人に呼びかけた。「ハタピの会」は同年7月に設立され、12月にNPO法人として認証された。現在、賛助会員として八王子市内8院、多摩市など多摩地区3院など、全国で合計14院が活動を支援している。
「胃がんの原因の99%はピロリ菌。そのピロリ菌は5歳くらいまで、ほとんど2歳くらいまでに水や食べ物からうつると言われています」(村井代表理事)。日本がん協会では胃がん検診について「40歳以上年1回」の受診を推奨。同会は40歳より若い人(20歳、20歳代、30歳代他)を対象に、主に抗体を用いたピロリ菌の検査の重要性を訴えている。
10代 5%感染
同会などの調べによると現在、10代(20歳未満)の感染率は5%前後と推測される(グラフ参照)。「いまピロリ菌の感染率が高い60歳以上の世代の除菌を行うことも重要ですが、40歳以上は胃がん検診があります。その世代については慢性胃炎のある方を検査して除菌をしていけば良いと思います」。ピロリ菌感染→慢性萎縮性胃炎の進行→胃がんの発生という流れはあるが、もし感染していても、できるだけ早いうちに除菌をすれば、胃がんの予防になる。
特に女性「結婚前に」
ピロリ菌検査は何種類かあり、同会では尿をとって、その中にピロリ菌に対する抗体がないかどうかを調べる尿中抗体検査法を取り入れている。「検査の精度は95%前後です。費用は最も安価(2〜3000円程度)になります」。同会では希望者に採尿キットを無料で配布中。自宅で尿をとり対象の医療機関へ持参すると(持参は家族でも可)、数日後に結果がわかる仕組みをとっている。同会ではこの1年間でこのキットを2000セット以上配った。
「親が感染していなければ、生まれてくる子どもたちが感染する可能性も低くなります。子どもができる前に検査をしてもらいたい」と村井代表理事は特に女性への検査に力を入れている。妊娠をすると(感染していた場合)、薬による除菌ができないため。また、子どもが産まれた後は母子間の濃厚な接触による経口感染の可能性が高くなるためだ。「結婚する前に検査を受けてもらうのが理想」と話す。「『二十歳のピロリ菌チェック』は胃がん検診ではありません。若年者の感染を調べることにより、胃がんが発生する前にそのリスクを減らすとともに、次世代への感染ブロックをすることに重点を置いています」
同会では昨年6月、市内で市民講座を開き、また10月には大学の学園祭でブースを設置し、活動のPRをした。日本工学院大学(片倉町)の学園祭では学生ボランティアの協力もあり、来場者らにキット500セットを配った。今後は10月に同大学の学園祭で、11月に八王子いちょう祭りでPRをする予定だ。
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