2月に行われた「全国小学生タグラグビー選手権大会」で、八王子市立七国小学校(七国)児童らで構成される「七国スピリッツ」が2連覇。同じく東京都代表として初出場した同第六小学校(子安町)で活動する「いずみの森ユナイテッド ベアーズ」が準優勝に輝いた。強化策の情報交換を行うなど、チームの垣根を越えた交流が八王子勢の快挙を支えた。
「七国スピリッツ」 日本一
タグラグビーは、タグ(ひも)を取られないようにしながらトライ(得点)を目指す5人制ラグビー。2月21日に、調布市・味の素スタジアムで行われたスピリッツとベアーズの決勝戦では、迷いのない動きで素早くボールをつなぐスピリッツが先行すれば、無駄の少ないプレーを実践するベアーズが追い付くという展開で推移。最後は、スピリッツが前回優勝の意地を見せ6対2でベアーズを振り切った。「試合のどんな状況にも対応できるように、様々なパターンの練習を繰り返してきた。プレー一つひとつを選手に『考えさせてきた』ことが生きた」とスピリッツのヘッドコーチを務める亀田慎也さん(39)は勝因を語る。
選手に「考える」ことを求めたのは、いかに無駄なくパスをつなぐのか、仲間をどのようにフォローするのかなどを瞬時に「考える」ことができれば、スピードあるチームプレーが可能となり、飛びぬけた身体能力をもった選手がいなくとも、「組織力」で勝利に近づけることができると捉えているためだ。「運動能力に関わらず、子どもたちの努力が実を結ぶ方法を追求してきたことが日本一につながった」と亀田さんは笑顔を見せる。
「ベアーズ」善戦
一方、初出場ながら準優勝に輝いたベアーズのヘッドコーチ石田龍雲さん(36)は「スピリッツさんとはこの1年間、数えきれないほど試合を重ね負け続けてきたが、今回が一番善戦できた。みんな、仲間をよくフォローできていた」と選手をたたえている。
八王子勢の好成績を支えたのは、月に1回程度の割合で開かれている競技交流会だ。タグラグビーの普及を目的に、亀田さんが都内や千葉、埼玉などの関東圏の小学生チームに声をかけ、2012年にスタート。多摩地域を中心に、毎回会場を変えながら開催している。
交流会で「強化策」交換
スピリッツ、ベアーズもほぼ毎回参加し関東圏の強豪チームと試合を重ねながら力を高めてきた。同会は、指導者間の「強化策」の情報交換や、児童らの交友関係を広める場としての役割も担っている。「タグラグビーは接触プレーがなく、ボールをもって走るというシンプルなスポーツ。運動が苦手な子でも、コツをつかめば活躍できるということを広めたかった」と亀田さん。
交流会で「コツ」をつかんだ両チームは短期間で実力を高め、スピリッツは09年度創設で、3年後に全国大会初出場。12年度創設のベアーズは4年で全国へと駒を進めるに至った。
石田さんは「亀田さんとは前任校でも都代表を競い合ってきた。ラガーマンであった亀田さんから学ぶことは多い。これからも切磋琢磨し合い、この競技の魅力を一緒に広げていきたい」と話している。
1月に「全国大学ラグビー選手権大会」7連覇を果たした帝京大学(大塚)監督で、スポーツ医療学科の教授でもある岩出雅之さんは「選手やスタッフ、保護者が数年かけて取り組んできた一つひとつの積み重ねが、好成績を残す力とチャンスを引き寄せたのだと思う。今後も怪我や心が燃え尽きてしまわないように注意しながら、児童の皆さんにはプレーの楽しさを忘れることなく頑張ってもらいたい」と話し、両チームの功績に祝辞を送った。
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