八王子版 掲載号:2018年7月26日号 エリアトップへ

NPO法人武州のよりあい 埋もれた伝統伝えたい 流鏑馬、郷土刀 市民と供に

文化

掲載号:2018年7月26日号

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NPO設立の表敬訪問で石森孝志市長(右)と話す磯沼さん
NPO設立の表敬訪問で石森孝志市長(右)と話す磯沼さん

 昨年10月に予定されていながら中止となった「第3回八王子流鏑馬(やぶさめ)」。実行委員会はその悔しさをバネに、新たにNPO法人「武州のよりあい」(磯沼孝理事長)として再スタート。八王子の郷土刀を高尾山に奉納する活動も加える。

 「苦渋の決断だった」。昨年10月、片倉つどいの森公園で予定されていた八王子流鏑馬が台風で中止になったときのことを実行委員長だった磯沼さんは振り返る。1年かけて準備を進めてきたが、テントが風に飛ばされる危険を完全に排除するのは難しいと判断した。

 NPO法人化への動きを本格化させたのは流鏑馬中止後すぐ。「次回の開催に向けて、より公共性があり、責任のあるNPO法人にする必要がある」と考えた。先月28日には石森孝志市長に、NPO発足の表敬訪問を行った。また、流鏑馬の開催(9月16日)だけではなく、磯沼さんが会長を務めていた「平成最後の下原刀を作る会」の活動も加えてNPOとして2つの事業を柱とする。磯沼さんは「下原刀のように歴史に埋もれ、市民があまり知らない八王子の伝統文化がある。知ってもらうきっかけになれば」と活動の意義を話す。

浅川の砂鉄で刀作り

 下原刀は、恩方、横川、元八王子などで室町時代末期から幕末まで作られていた八王子の郷土刀。市の有形文化財でもある。事業がめざすのは、それを市民の協力で作り上げようという試みだ。16日には浅川橋近くの河川敷で、刀の原料となる砂鉄とりが行われた。集まった親子連れなどの参加者約50人がバケツと磁石を手に、砂鉄を集めた。

 「刀を作るのには、30キロくらいの砂鉄が必要なんだよ」。参加者に声をかけるのは市内在住で上恩方町に鍛錬所を構える刀匠・佐藤利美さん。一度は途絶えた下原刀を佐藤さんは20年かけて研究し、3年ほど前に復活させた。「かつての下原刀も浅川の砂鉄から作られていました」と話す。次のステップは「たたら製鉄」をして、砂鉄から刀の元になる「玉鋼(たまはがね)」を作る。この作業は8月25日(水)に高尾山の自動車祈祷殿で行う。玉鋼を鍛え、最終的には高尾山に奉納する。

 鎌倉時代の武士のように馬に乗ったまま弓を射る神事・流鏑馬。15年に行われた八王子流鏑馬は、市内初の開催として注目を集めた。磯沼さんは「去年、実施できなかった悔しさがある。今年はその分までがんばりたい」と意気込んでいる。

砂鉄とりのイベントに明神町から両親と一緒に参加した小西翔太くん(4歳)。いつもは公園の砂場で遊んでいるそうで「お砂がとれて楽しかった」と笑顔を見せた
砂鉄とりのイベントに明神町から両親と一緒に参加した小西翔太くん(4歳)。いつもは公園の砂場で遊んでいるそうで「お砂がとれて楽しかった」と笑顔を見せた

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