八王子版 掲載号:2018年10月11日号
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芸者映画 1日限り上映 震災の「絆」 契機に制作

文化

映画「フクシマ・モナムール」のワンシーン。右が桃井かおりさん。映像提供:ゲーテ・インスティトゥート(東京ドイツ文化センター)
映画「フクシマ・モナムール」のワンシーン。右が桃井かおりさん。映像提供:ゲーテ・インスティトゥート(東京ドイツ文化センター)
 八王子芸者衆が出演したドイツ映画「フクシマ・モナムール」(ドリス・デリエ監督)が10月28日(日)、立川市の映画館で1日限り上映される。この映画は東日本大震災の被災地、釜石市の芸者艶子(つやこ)さんと八王子芸者衆のめぐみさんの絆をきっかけに2016年に作られたもの。今回めぐみさんの働きかけで初めて八王子近隣での上映が実現する。*中面に関連記事

めぐみさんら出演

 映画には八王子芸者衆のめぐみさん=写真=の他、菜乃佳さん、くるみさんが出演している。めぐみさんは主演の桃井かおりさんが演じる芸者サトミに三味線を届ける東京の芸者役、くるみさんはその置屋の半玉、そして菜乃佳さんはサトミの弟子の若い芸者役。

 出演のきっかけはドイツ人の女性監督がある日本の新聞記事を読んだこと。その記事は大震災を通じて2011年に出会った2人の芸者についてのもの。その2人とは「釜石ラスト芸者」の艶子さんとめぐみさんだ。

 監督はこの出会いをモチーフに原発事故を描くフィクション映画の制作を考えた。15年、記事で知っためぐみさんに三味線指導を依頼。それが打ち合わせを進めていくうちに役者として出演することに。八王子芸者衆の銀幕デビューとなった。

 ドイツ人女性が被災地で最後の芸者サトミと知り合い、その2人の間に不思議な友情関係が築かれていく――。「サトミは艶子さんがモデルですがストーリーは全く違うもの。震災を通し芸者の生き方や日本人らしさなどを表現しているようです」とめぐみさん。

「ぜひ地元の人にも」

 作品はドイツをはじめヨーロッパ各地で上映され、第66回ベルリン国際映画祭で賞もとった。日本では16年、ドイツ映画祭に出品された。「(私は)映画祭で観ることができましたが、その後、一般の人が鑑賞する機会はなかなかなかったよう。ですので、今回の上映は念願です」。めぐみさんはぜひ地元の人にも観てもらえればと映像製作会社などに頼み、上映会を企画した。「色々な方のご縁があり、艶子さんと出会うことができ、映画に出演させていただくことができ、そして今回の上映にいたりました。改めて『つながり』に感謝します」

 上映会場は立川シネマシティ(立川市)。午後6時の回のみ。当日はめぐみさんと花柳界ライター・浅原須美さんによるトークもある。イベント協力費として2000円。詳細は八王子三業組合【電話】042・622・5191へ。*参考図書「芸者衆に花束を。」(浅原須美著/風声舎)

艶子さんとめぐみさん

 艶子さんとめぐみさんの絆については、浅原須美さんの著「芸者衆に花束を。」(風声舎)に詳しく描かれている。*以下の文章は同書を参考

「負けてたまるか」

 かつて鉄で栄えた釜石の花柳界は鉄とともに衰退した。20、30人いた芸者はやがて艶子さん1人になった。2011年3月11日は艶子さんにとって「およそ2カ月ぶり」のお座敷の席だったそう。

 三味線、着物、帯、足袋、扇子、帯どめ、大切な商売道具を地震と津波で失った。着の身着のままで逃げてきた艶子さんは避難所で多くの取材を受けた。「商売道具の三味線や着物が流されてしまったことがいちばん悲しい」「芸は流されていない。負けてたまるか」

「私たちに教えて」

 このことを知っためぐみさんは「三味線を届けたい」と申し出る。同年5月、めぐみさん以下数人の芸者衆が避難所を訪れ、三味線を手渡した。

 「救いの神だ」と艶子さんは喜んだ。一方「釜石の芸者はもうわたし1人だけ。自分がいなくなったら身につけた芸も一緒に消えてしまう」と打ち明ける。めぐみさんが応えた。「お許しいただけるなら私たちに教えていただけないでしょうか」――。そして遠く離れた2つの花柳界の交流が始まる。2人の芸者については新聞等で紹介された。

 16年1月、艶子さんは他界。享年89。モデルとなった映画を観ることはできなかった。

2011年7月、避難所で三味線を弾く艶子さん。右はめぐみさん=浅原須美さん撮影
2011年7月、避難所で三味線を弾く艶子さん。右はめぐみさん=浅原須美さん撮影

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