医療法人社団ＫＮＩ（大和田町／北原茂実理事長）とその関連の（株）ＫＭＳＩが中心となり展開する超高齢社会に備えた自費医療関連サービスが、グッドデザイン賞を受賞した。同賞はデザインを「人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごと」と捉え、その質を評価・顕彰するもの。医療機関において建物や機器などでなく、提供するサービス、ビジネスモデルが受賞するのは稀という。同法人らの先見性と実行力が評価されたようだ。

独自の自費医療関連サービス

　受賞対象名は「新しい医療サービスモデルの提案 [サスティナブルな「医療」を実現する-八王子モデル-]」。仕様は八王子市周辺市民を対象とした自費医療関連サービス。

　医療法人社団ＫＮＩは北原国際病院（大和田町）など市内で４つの医療機関を有する。受賞となった事業は関連の（株）ＫＭＳＩと、昨年12月に新装した北原リハビリテーション病院（左入町）を拠点に今年３月から実施している。

急病時の備えなど

　超高齢社会をむかえる中で、日本の医療・介護は財源と労働力の枯渇により持続が困難な状態に陥ることを想定し、４つのサービス等を提供する。その４つとは、【1】急病時に備えた医療情報や意思などの登録データベース、【2】その情報を基に医療、介護、生活支援を行うサービス、【3】病気予防のために免疫力を高める空間、そして【4】最短で最大限の回復をＩＣＴやＡＩを用いるなどして実現をめざす病院。この事業について審査委員は「それぞれ高齢者にとって必要であるが、分断されがちなサービスを、一気通貫で提供する取り組みをアイデアや机上の空論ではなく、実際のサービスに落として提供している。また、財源・労働力不足が叫ばれる医療、介護の現場にあって、国などの財源に頼らずに継続可能性のある形でビジネスモデルを構築しようとしている」などと評価した。

「認められて良かった」

　受賞を受けて同法人は「取り組みが認められて良かった」と喜んだ。

　北原氏は１９９５年、北原脳神経外科病院（現・北原国際病院）を開設。医療を「人が健康に生活するための全てに関わる生活産業」と考えており、同法人ではこれまでの医療概念を一新するような事業を展開。近年はカンボジア、ベトナム、ラオスに進出。また地域住民向けにフェスも開催している（今年は11月11日）。

　グッドデザイン賞は１９５７年に始まった総合的なデザイン評価・推奨の仕組みで公益財団法人日本デザイン振興会が運営している。10月３日に結果を発表した２０１８年度は、審査対象が４７８９件で受賞件数は１３５３件だった。

◆事業主体名／医療法人社団ＫＮＩ、株式会社ＫＭＳＩ　◆受賞企業／医療法人社団ＫＮＩ 、株式会社Kitahara Medical Strategies International 、日本電気株式会社、株式会社相武企業 、 住デザインオフィス 、三井住友信託銀行株式会社 、学校法人多摩美術大学 、有限会社バーゼル