先月末、内閣府によって40歳を超えるひきこもりの実態調査の結果が発表され、その数は全国で61万人を超えるとされた。八王子市内でひきこもり支援にあたる、子安町・株式会社あやめ会の青木崇浩代表は「実際はそれ以上と考える。八王子でも、ひきこもり中高年対策は急務なこと」と指摘している。
認めたがらない
この61万人以上という数字は昨年12月に、無作為に選んだ5千世帯を対象に行われた調査から算出されたもので、青木代表は今回のような調査では、本人はもとより、その親は自身の子どもがひきこもりであると認めたがらず、正確な数字を出すのは難しいと話す。
そして、実際はそれ以上の可能性が高いとし、「ひきこもり中高年は40から64歳とされるが、その3割は現在、40から44歳ぐらいの団塊ジュニア。さらにその30%が高学歴と考えています」と話し、大学卒業後に就職氷河期を迎えた団塊ジュニア世代は、その時に就職できずにひきこもることになってしまったケースが少なくないのだという。
「この世代は大学を卒業していることもありプライドが高い人が多い。それが挫折を経験し、ひきこもりに拍車がかかったと考えられる」と青木代表。
「無理をするな」という風潮のなか育った、今の、10、20代のひきこもりとは違う傾向にあると話す。
課題は窓口不足
そんな現状のなか、青木代表が問題視するのが、ひきこもり中高年向けの相談窓口が少ないことだ。
若者支援という形で、34歳までの無職者などの窓口は多くあるものの、「40歳を超える人を対象にしたものがない」と青木代表は嘆く。それは市内も同様と話し、ひきこもる人のなかには、精神的な病気が理由となっているケースもあることから、しっかりと話を聞き、見極める場所が必要なのだという。
「だから、病院が数多く点在する八王子は、顕在化しているひきこもりの数が多いんです。ある意味、恵まれた環境と言えます」
「専門」開設へ準備
青木代表は現在、市と共にひきこもり中高年を対象とする相談窓口の開設準備を進めている。
「約20年間ひきこもり、今40代の男性は、当社で1年間トレーニングを積み、現在アルバイトを探し始めています。今は、人生100年時代。40代なんてまだ若い、再チャレンジできるんです」と青木代表は話し、そのことを今年度中の開設を目指す、相談窓口などを通して伝えていきたいのだという。
「人数が多い、団塊ジュニア世代のひきこもりが50代となり、その親が80歳を超えるようになるとお金がなく、親子で疲弊していく家庭が急増する恐れがある。今、手を打たなければならないんです」
青木代表へのひきこもりに関する問い合わせや相談などは、「あやめ会」【電話】042・649・4410へ。
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