新人ミステリー作家の発掘を目的としたコンテストで大賞に輝いた 歌田 年さん 高倉町在住 56歳
「マニアック」が道ひらく
○…どんな紙の種類でも見分けられる探偵と伝説のプラモデル職人の2人が事件に挑む物語を描いた。生かしたのは自身の経験。25年間、模型雑誌の編集や印刷用紙の調達にあたる業務に就いていた知識を「謎解き」に活用した。このコンテストへの挑戦回数は数知れず。スタートした17年前から挑んできた末の栄冠だった。「賞金は全て生活費にあてます」。文体通り、クールなハードボイルドが身上だ。
○…生まれてからずっと高倉町。趣味の模型づくりに関するものを移すのが面倒だから、が理由だ。幼い頃、友だちたちのなかで流行ったプラモデル遊びで一番上手く模型をつくれたことが興味を深めるきっかけとなった。関連してSFなどにも心が動くようになり、「未知なるものを知りたい」という思いが創作活動の原動力に。模型やレリーフ、小説――。アイデアが湧き出る毎日を送っている。
○…現在は、模型雑誌などの仕事を手掛けるフリーの編集者として活動する。一方で親の介護にもあたり、小説に取り掛かるのはその合間の夜になることがもっぱら。年に数回は自身がつくった創作ロボットなどの個展を開き、来場者の反応を見るのが楽しみの一つになっている。「驚いてもらいたいんですよね」。年々、マニアック度は増すばかりだ。
○…受賞作は来年1月に刊行される予定。今後は小説を本業として成り立たせるためにも、よりハイペースで作品を発表していく考えだ。「SFやホラーなどの分野もね。他の人が取り上げないものを描いていきたいと思っています」。ニッチこそ、我が道。ただ、小説ではマニアック過ぎない、一般受けする作品をつくっていく必要がある――。それが悩みどころだ。
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