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公開日:2020.06.04

市内12年ぶりの新寺
楢原町 「出向く」形で運営

 八王子では12年ぶりとも言われる新しい寺院が楢原町に開かれた。オンライン上で海外法要を行ったり個別の英会話教室を開催するなど、初代住職となった豊島亮康さんは従来あるお寺のイメージを覆す活動を始めている。

 その寺院、一悦庵(浄土宗)は昨年10月に開設。戦後直後まで「ごぜ」と呼ばれる盲目の芸者が寝泊まりしていたとされる建物を復興させるため、お寺として門を開くことにしたのだという。

 「建物のなかにある阿弥陀如来立像の管理を含めて地域の方々から私の実家で泉町にある相即寺に維持管理の依頼があったんです。どう活用していくのがいいのか考えた末の結論でした」と豊島さんは寺院の開設理由を話す。

「異色に」活動

 スタートさせた活動は異色だ。アメリカやカナダなど海外からの依頼でオンラインで寺と現地を結び法要を行ったり、希望者に対して個別の英会話教室をオンライン上で無料開催するなど、豊島さんは一般的な僧侶のように「寺で相談に乗る」形ではなく、「出向く」ことを念頭に動き出している。

 先月には宗派を超えた仲間の僧侶と共にコロナ収束を願う祈願法要を動画サイトに流したと言い、「出向く形の方が私自身、面白いですからね。外出制限もなくなり、国内だけでなく、海外へも仏教を伝えるメッセンジャーとして行けたらと思います」と豊島さんは笑顔をみせる。

平等に供養を

 活動の背景にあるのが誰でも平等に供養を受けられる社会にしたいという思いなのだという。お金がないために家族を供養できない人などを数多く見てきたと言い、それぞれの状況に合った形で供養を受けられるようにしていきたいのだと豊島さんは力を込める。「自分のお寺をもたない人たちなどを救いたいと思うんです。私がお伺いし喜ばれるようであればどこへでも」

 市内131の寺院が加盟する「八王子市仏教会」によると、同会に加盟する新寺は12年ぶりと言い、「積極的に活動されている」など、今後の活躍に期待を寄せる声があがっている。

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