八王子いちょう祭り祭典委員会の7代目会長を務める 石井 利一さん 長沼町在住 86歳
理想追う寮長の決断
○…会長として迎える初めての八王子いちょう祭りはコロナ禍の影響で大幅な内容変更を迫られた。「40数年の歴史の中でも、こういう事態は初めて。不安だらけ」。しかし、表情は明るい。「これだけ大きな祭りをボランティアだけで続けているのは全国でも例がないと思う。来年以降に繋げていくためには、途切れないようにしないと」
○…生まれは埼玉県本庄市。大学卒業後、エレクトロニクス関係の企業に入社。武蔵小杉の独身寮に入った1年目から「なぜか」200人をまとめる寮長に指名された。「みんな若いし、荒っぽかった」。夜は毎晩のように喧嘩の仲裁をしていたという。「喧嘩には必ず理由があるんです。人を収めるのは、普段から接していないとできない」。食堂や掃除を担当する管理人への指示も寮長の仕事。その後のリーダーシップの原点になったという。
○…会社では労務畑を歩むことが長かった。ここでも人と人との調整が仕事。関連会社の社長にもなった。バブル期は365日、ほとんど家にいたことがなかった。だから地元意識は薄く「市役所の場所も知らなかった」。アメリカ勤務時代に「役員も当たり前のこととしてボランティアをする」と知り、引退後は実践するように。
○…NPOを支援する団体「八王子市民活動協議会」に発足当時から関わり、理事長を12年務めた。発足当時、法人格を持つNPOは市内で20団体ほどだったが、今では300に増加。大きな成果だ。「色々とやっていると歳をとるのも忘れる」と笑う。「仕事でも、現実論と理想論のせめぎ合いがある」。コロナ禍の開催は、理想と現実をまとめ上げた企画となった。「やっぱり理想を掲げないとね」
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