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公開日:2020.11.12

石川さん 都優秀技能者に
楢原町 貴金属細工加工工

  • ▲作業をする石川さん

  • 石川さんが手掛けた作品=提供写真

  • 受賞の知らせを手に喜ぶ石川さん

 令和2年度の東京都優秀技能者(東京マイスター)知事賞受賞者が10月28日に発表され、八王子市からは唯一「貴金属細工加工工」の石川雅也さん(46)が受賞した。石川さんは楢原町にある(有)石川美術工芸の職人で2代目代表。受賞の知らせを受け、「驚いた。これまで肩書にこだわりはなかったが、正直嬉しい」と笑顔をみせた。

令和2年度「東京マイスター」高額逸品を作成

 東京マイスターは都内に勤務する技能者のうち、極めて優れた技能を持ち、他の技能者の模範と認められる人を表彰するもの。1983年に始まり、これまで市内から複数の技術者が選ばれている。

 今回受賞の石川さんの職種は「貴金属細工加工工」。技能・功績の概要は「貴金属装身具(ジュエリー)の手作りや加工、3DCADを駆使した作品を手掛け、国内をはじめ海外の高額逸品製品の作成を任されている」「全てを手作りできる職人が減少しているため、受け継がれてきた技能が途絶えぬよう、後進の指導・育成に尽力している」点だった。

 同社は長野から上京し国分寺で修業をした先代(石川さんの父)が1972年に立ち上げた。

 石川さんはそれまで跡を継ぐことは考えていなかったが高校3年のとき、父親が「この会社を大きくしたい夢がある」と語ったことがきっかけで決意をした。進学が決まっていた卒業前、「やる気があるか?」とたずねられると、「やるわ」と返事をしたそう。

何が綺麗?

 自宅を兼ねた工房でデザインをもとに、リング、ネックレス、ブローチ、ペンダントなどを作り上げていく。

 頭の中で形を組み立て、素材を切ったり削ったり鑢をかけるなどしパーツを制作。それらを組み合わせ作品に仕上げる。「どうやったら綺麗に見えるか?」。その点においては特に立体感が大事と考えており、「パッと目に入ったときの違和感がない感じが良い」と表現する。「思うようにできると楽しい。お金に関係なく作れたらもっと楽しい」と笑う。

 大手ジュエリーメーカーからの受注がほとんどだが、コロナ禍でパーティーなど「貴金属を飾る機会」が少なくなる傾向に比例してその数も減っているそう。

 一方、2018年に先代から会社を継いだ際にオープンしたオーダーメイド専門店は順調で「手づくりの需要は増えている」と実感している。

お祝いにスーツ

 受賞にあたり知人から多くのお祝いが寄せられた。「そんな仕事をしていたのか」と驚かれることもあった。石川さんは改めて「やっと認めてもらえた感じがします」と嬉しそうだ。先代も「かなり喜んだ」そうで授賞式の際に着るスーツのプレゼントがあったという。都への推薦をした八王子商工会議所は「今までの石川さんの御努力の賜物です。今後も後継者育成への技術の伝承に務められ、ご自身の更なる精進に努めて頂ければ」とコメントを出した。

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