何より自分が楽しむ

　○…高木ブーさん、関口和之さん（サザンオールスターズ）ら、多くの著名アーティストの楽器を制作してきた。日本におけるオーダーメイドギターのパイオニアと言われる。38年間でおよそ１２００本。その中から１２０点の収録。所有者に問い合わせ作品を集め、すべて撮り下ろした。１冊１５０００円の「大作」。「一生に一度の豪華な結婚式のよう」と、出来には満足そうだ。

　○…生まれは追分町。祖父が金物屋、父親が住宅機器卸会社を営んでいた。かぐや姫から入りデルタブルースへ。ギターは中１から親しんだ。大学時代、雑誌でアメリカのギター制作専門学校の存在を知り「本場で学びたい」。２年間バイトで資金を貯め留学。制作漬けの４カ月間。周りの仲間の成功も失敗もすべて自分の知識となった。「夢の時間」と振り返る。帰国したのち、24歳で独立した。

　○…甘党であり辛党でもあるそう。制作に没頭した後、「美味しい料理を食べ、美味しいお酒を飲む」ことが明日の仕事の糧になるとか。魚座だから「水が好き」だそうで「行きたいと思ったら海へ行く」行動派。尊敬する人はマザーテレサ。それに倣い家族や隣人を深く愛する。

　○…「みんなに評価してもらえるものを」。その考えが１８０度変わった出来事があった。およそ20年前、「自分の好みで作った」作品を周りのギターの５倍程度の価格で出品。するとそれに目をつけ、ローンを組んで買ってくれる人がいた。「誰か一人、ぞっこんになってくれればいい」。たとえ今、いなくても「２００年後に欲しい人が出てくるかも。だから作品に失敗はない」。何より自分が楽しんで作ることを大切にする。夢は「徹子の部屋に出演すること」とニヤリ。