乳幼児期の保育や教育の質を高めようと、八王子市は保育者に向けた独自の指針「乳幼児すくすくてくてくガイドライン」を初めて作成し、先月発表した。市担当者は「全ての保育者に幼児期の保育、教育の重要性を再認識してもらうきっかけとしたい」と話す。
ガイドラインでは、子どもに対する保育者の保育実践をエピソードとして解説している。エピソードは、国が保育所保育指針などの改定とともに示した「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の10項目」に沿うもの。市私立幼稚園協会や市私立保育園協会などの協力を得て内容を検討した。ガイドラインは市内全幼稚園、保育園、認定こども園、小学校など約270カ所に配布される。
子ども家庭部子どもの教育・保育推進課長の米村勇さんは「乳幼児期に培う忍耐力や感情コントロールなどが、将来の育ちに影響することはさまざまな研究で証明されている。保育者の方たちに改めてその重要性を考えるきっかけになれば」と作成の目的を話す。
課題「量」から変化
市は2020年に策定した「子ども・若者育成支援計画」の中で「乳幼児期の教育・保育の質の向上」を掲げている。ガイドラインはその施策の一つ。米村さんは「これまでは施設の『量』が課題だったが、待機児童がある程度解消されてきた今は、教育や保育の『質』の向上が求められている」と話す。
昨年は、施策の一つとして八王子市幼児教育・保育センターを設置し、幼児教育・保育アドバイザーが市内全幼稚園、保育園、約200カ所を訪問。その中で他園のやり方や具体的なケースの保育者としての接し方など、教育、保育内容に関する相談が寄せられたという。
研修に活用
市内幼稚園の園長は「さまざまな民間企業が参入し、保育の質がどれくらい確保されているのか疑問だった」とし、「幼稚園、保育園、認可の有無に関係なく、ガイドラインを実効性のあるものにし、幼児期の保育や教育の質の底上げにつなげてもらいたい」と期待を込める。
市は今後、市内全保育施設を訪問し、ガイドラインについて説明。さらに、研修にも活用していくという。
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