伝統工芸品に着目し、受け継がれる江戸職人の技を発信しようと都が取り組む「東京手仕事」プロジェクト。昨年度に開発された13商品のうち3商品が入賞し、石塚染工(元横山町)の代表・石塚久美子さん(37)が製作した江戸小紋染めのバッグが中小企業振興公社理事長賞に輝いた。各商品は6月23日まで伝統工芸青山スクエアで展示販売している。
東京都中小企業振興公社が運営し、都が支援する取り組みで、2015年度に開始。伝統工芸品の製作者にビジネスパートナーとなるデザイナーらを引き合わせ、現代の消費者が求める新しい工芸品を共同開発してもらうのが狙いだ。
江戸小紋の着物や浴衣を手がけ、明治時代に創業した石塚染工の5代目・石塚久美子さんは、呉服店の知人を通じて同プロジェクトを知り、参加を決意。5社の提案をオンラインで受け、パートナーを決めた。
途中で方向転換
パートナーのデザイナー2人との初対面は昨年9月。当初の企画はA4の書類が入るフラットバッグだったが、試作後、実用性に疑問を感じた石塚さんはデザイナーに相談。12月にショルダーバッグへ変更した。
「江戸小紋は一見無地にも見える、細かい繊細な柄。東京の粋なイメージをシンプルに盛り込みたかった」と石塚さん。3月上旬の提出期限が迫る中、バッグの形や柄、色を決め、パーツ探し、縫製会社との交渉など奔走。和装と洋装の両方に合わせられるよう、現代風の青と黄、伝統的なねず色の3色を製作した。
柄は市松柄、十草(とくさ)柄、亀甲柄の伊勢型紙をつなげて手染め。3種の柄をきれいな平行に仕上げるのに苦心したという。石塚さんは「着物を着ていない若い層にも興味を持ってもらい、手仕事を知るきっかけになれば」と願いを込める。
◇ ◇
同プロジェクトは昨年度、4月から製作者とビジネスパートナーを募集。製作者の工房の紹介動画をパートナー向けに配信し、オンラインのマッチング会を経て13組の開発チームが商品を発表した。各商品は伝統工芸青山スクエア(港区)で開催中の「東京手仕事展」で見られ、日本百貨店にほんばし總本店(中央区)でも購入できる。
石塚染工(【電話】042・642・4400)の商品は1点3万3千円。詳細は同社サイト。
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