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八王子 人物風土記

公開日:2023.04.20

3月に神戸で行われた「全日本オープンパラ卓球選手権大会(肢体の部)」で優勝した
七野 一輝さん
稲城市在住 24歳

車いす転向 勢い止まらず

 ○…「負けたくなかった」。神戸で行われた全日本大会を振り返り、はにかみながらそう吐き出す。杖をついての「立位」から「車いす」に転向して約1年。初の国際試合は今大会の数週間前、スペインとイタリアでのオープン戦。両方優勝という偉業を成し遂げた上での今大会だ。「海外で勝てたんだから、国内でも」というプレッシャーの中、ゆるぎない結果を出した。

 ○…生まれつき、二分脊椎症による両下肢機能障害がある。体を動かすことは好きで、町田市にある和光中学校で卓球部に入った。歩き方を揶揄されるのが嫌で、外部の人が集う大会に出るのが億劫だった。でも「顧問の先生やいい先輩たちに恵まれた」。障害をフラットに受け入れてくれる環境が、技術を磨くことに集中できる土壌を生み出した。

 ○…昨年、練習中に転倒。その影響で、普段から安定していなかった股関節がさらに外れやすくなり、立位での競技に限界を感じた。車いすに転向するのは、出場を目指す2024年パリパラリンピックの後だと想定していたが、「思い切って前倒した。日本代表選考戦の前後で車いすに転向するよりは、今転向してしまった方が」と転機をプラスにとらえる。

 ○…多いときには週3日通う、松が谷にある松が谷卓球場。バリアフリーで、床が国際戦と同じ競技用マット仕様。「タイヤの踏み込みが違う」という。眼前に見据えるはパリパラ五輪。今大会などの結果を受け、同クラスの中で世界ランキングの3位に躍り出た。「金メダル、なんて大きすぎる目標を掲げるのは好きじゃない。まずは日本代表になってパリに行くこと」。夢の舞台はすぐそこに。勢いそのまま、着実に世界を獲りにいく。

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