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公開日:2023.05.04
裏高尾小仏川
園児がヤマメ稚魚放流
地元有志 生育復活図る
裏高尾町の小仏川ヤマメ放流連絡会(水野康直発起人)が4月25日、地元のみどり幼児園(羽田真紀園長)の園児を招き、地域を流れる小仏川にヤマメの稚魚1000匹を放流した。4年前の大型台風で川が被害を受けて以降、激減したヤマメの復活を目指す。
南浅川の支流で、かつてはヤマメやハヤなどの川魚が住み、釣り人も訪れていた小仏川。3歳から近くに住む水野さん(80)も子どもの頃、よく魚とりなどを楽しんでいたという。2019年10月に東日本を襲った台風19号が裏高尾地区にも甚大な被害をもたらし、小仏川も増水で土砂が流出。水野さんは「川の形が変わってしまい、川魚の姿も少なくなった」と心を傷めていた。
それから3年後の22年7月、自然繁殖では時間がかかりすぎると感じた水野さんが発起人となり、近隣に住む同志3人と連絡会を立ち上げてヤマメの放流を計画。地元の恩方漁業組合に相談して小仏川に漁業権がないことを、川を管理する東京都南多摩西部建設事務所に放流について確認をとった。その上で市内の東京都鮎鱒養殖漁業協同組合を通じて、東京都奥多摩さかな養殖センターで育てられた稚魚を購入するなど、「以前のようなヤマメの住む清流に」と準備を進めた。
また「子どもたちの思い出になり、川の生き物に対する愛着につながれば」と、放流の担い手として同園に声をかけた。羽田園長は「小仏川は園から近く、園児らとよく散歩に訪れる身近な川」と話し、「(放流は)なかなかできない経験。子どもたちが川や生き物に興味を持つきっかけになれば」と快諾した。
「優しく見守って」
放流に参加した園児は約20人。小仏川の放流地点を訪れた園児たちは、水野さんら同会のメンバーから5〜6センチほどの稚魚を受け取ると、持参したバケツで川岸からそっと放流。「もう泳いだ」「すごく早いね」と目を輝かせた。放流に参加した鈴木晴三朗さん(5)は「(ヤマメが)大きくなったら、また会いたい」と胸を膨らませる。様子を見守っていた母親の京子さん(44)は「家族で魚釣りに行ったことはあるが、魚が稚魚から成長することを知らない。良い経験になったと思う」とほほ笑んだ。
同連絡会はこの日、事前に下調べをしていた小仏川上流の水深の深い10カ所で稚魚を放流した。水野さんは「ヤマメが大きくなり、川に定着するまでの2年くらいは釣りを控え、優しく見守ってもらえれば」と呼びかけている。
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