唯一無二、ペンで魅せ

　○…遠心力が利くよう両端におもりがついた特製スティックを、高速で回転させる。肩書はペン回しのプロパフォーマー。そう名乗るのは「世界で自分だけ」と豪語する。特徴は全身を使ってペン回しを「魅せる」こと。「自分より技術が上の人はたくさんいる。でも、知らない人に見せて楽しませるのだったら絶対に負けない」

　○…中学生のとき、教えてもらってやってみたがうまくいかなかった。「悔しくて、家でやり方をネット検索したんです。そしたら技名がズラーッと出てきて」。猛練習し、その日のうちに基本となる回し方を習得。高度な技を次々に網羅し、サイコロや水晶を自在に操る芸も身につけた。ペン回しに打ち込むため、大学を１年間休学したことも。東京都のパフォーマンスライセンスを取得してからは、人前で披露する経験を着実に積んでいった。

　○…自他共に認める行動派。自身が19日に初主催するコンテストも、ほぼ一人で準備した。ただ、４年前に中国で行われた世界大会では、アジア情勢が不安視される中、今出場するべきなのか「最後まで迷った」という。そんな気持ちを見透かしてか、学生時代から支えてくれている妻が背中を押してくれた。「行ってきなよ」。後押しを力に、悲願の「優勝」を持ち帰ったのだ。

　○…ステージ出演や動画配信などで生計を立てる。私生活では２カ月前に長男が産まれた。親子でペン回しができる日は、まだまだ先の話。「押し付けるつもりはないけれど、自然に興味を持ってくれたら」とほほ笑む。回したり、放ったり、足の下を通したり。ペン回しの可能性は無限大。もっと「かっこいい」と言われる存在になれるよう、多彩な魅力を発信し続ける。