共励こども園(明神町)・共励第二こども園(川口町/共に社会福祉法人同志舎)がこのほど、グッドデザイン賞2024を受賞した。40年以上、毎年企画している「ごっこ遊び」を主軸とした教育カリキュラムが、子どもの想像力や行動力を育むと評価された。
グッドデザイン賞は、「日本で唯一の」総合的なデザイン賞で、有形無形に関わらず、すぐれたデザインのものが選定される。応募カテゴリーは、代表的な「建築」部門に始まり、地域での交流プログラムや幼稚園などの運営教育プログラムなど、形の無いものも含まれる。
10月16日にグッドデザイン賞の1つとして発表されたのは、同園の教育プログラム「総合保育」。特徴的なのは、1年間という長期スパンで行う「ごっこ遊び」だ。まず学年ごとに担任らが、成長過程で習得させたい事柄を絡めたごっこ遊びのストーリーを決める。そして定期的に実施する総合保育時間の中で、ごっこ遊びを通して生活習慣や基礎技能、基礎体力などを身につけさせる。
一例として2007年には、2歳児クラスで「まねっこマントマンしろうくん!」という題材が展開された。保育士が「しろうくん」というキャラクターに扮し、たびたび園を訪れる。子どもたちは大好きなしろうくんと触れ合いながら、洗濯の仕方を覚えたり、消えてしまったマントの行方を一緒に考えたり、河原まで一生懸命探しに行ったりと、ストーリーの中で経験を重ねていく。そうすることで、「単に衣類の洗い方を教えるより、お話の中で目的を持って行う方が子どもたちの意欲が違う」と共励こども園の今井ゆきの園長は熱を込めて語る。
保護者巻き込み
もう1つの特徴として、このプログラムでは保護者の関わりも重視する。子どもが着用するマントを保護者が手作りしたり、運動会の親子競技で「マント探し」を行うなど、話の世界を共有。保護者からは「洗濯物を取り込みたがるようになった」「休みの日に公園で一緒にマントを探した」などの変化や体験が報告されている。
毎年新年度前に、1学年4〜5人の担任らでストーリー構成を企画するのが恒例で、共励第二こども園の長田豊司園長は「職員たちは(ある意味)デザイナー。職員たちの40年間の実績や功労が評価されたことがうれしい」と受賞を喜んだ。