八王子車人形・西川古柳座の五代目家元である西川古柳さん(71)が今春、「国際人形劇連盟文化遺産賞(UNIMA Heritage Awards)」を日本の人形劇関係者として初めて受賞した。西川さんが八王子車人形の継承に努め、国内外の人形芝居に長年わたり貢献してきた実績が高く評価された。
西川古柳さんと息子の柳玉さんは6月25日、初宿和夫市長へ受賞を報告。初宿市長は「八王子の伝統文化を継承する西川さんが国際的に認められ大変うれしい」と述べ、来年の日本遺産登録更新にも「心強い」と期待感を示した。
この賞は「人形遺産の保護、普及、研究に時間と労力をささげた人々を称えること」を目的に授与されるもの。今年5月に韓国の春川市で開催された第24回国際人形劇連盟総会・春川世界人形劇祭の中で行われた授賞式で発表された。
国際人形劇連盟(UNIMA)は、1929年に設立されたフランスに本部を置く演劇分野では歴史のある国際的な団体。約80カ国の人形芝居関係者8000人以上が加盟している。
西川さんは1970年代に初の海外公演をソ連(現ロシア)で行って以来、ヨーロッパやアジア、アメリカなど40カ国以上で公演を実施。アメリカ人の人形劇アーティストと共同で小説家・芥川龍之介の作品を元にしたオリジナル人形芝居「AKUTAGAWA」を全編英語で上演するなど、革新的な取り組みを行ってきた。
海外公演の際には必ずワークショップを実施し、人形の両手と両足、顔の5カ所を動かす車人形の「一人遣い」の技術を伝授。世界各地で現地の人々が技術を取り入れ、独自の工夫を凝らして自分たちの人形芝居を行っているという。
西川さんは「まさか、という思いはあったが本当にうれしかった」と受賞の喜びを語り、「守るだけでは次の発展が止まってしまう。伝統をきちっと崩さない形で、新しいものに挑戦していくことを大切にしている」と話した。
なお、今回の受賞では、世界14カ国から選ばれた計37の個人・団体が授与され、日本からは西川さんと徳島県に伝わる阿波木偶箱まわし保存会の3人が選ばれている。
![]() 米国の人形劇アーティストと稽古する西川古柳さん(左)
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