2016年の幕開けにあたり、本紙では阿部裕行多摩市長に、新春インタビューを行った。阿部市長は、現在市が重点的に取り組んでいる政策「健幸都市・多摩の創造」「市民がデザインするまち・多摩の創造」「発信!未来へつなぐまち・多摩」の3本の柱の現状、展望を率直に語った(聞き手/本紙・中島崇雄)。
「ニュータウン再生の中心は市民の皆さん」
――まずは昨年1年の振り返りをお願いします。
「昨年は戦後70年の年でありました。11月1日には、『広島子ども派遣事業』で一緒に広島に行った子どもたち、多摩市在住の広島・長崎で被爆した方たちでつくられている『やまばと会』の皆さんと一緒にアオギリ2世の植樹式を多摩中央公園で行うことができました。実際に経験されている方はご高齢ですし、存命の間に、被爆や戦争を起こしてはならないという思いを次代を担う子どもたちに繋げていくためにも、こうして植樹式ができたことは良かったと思います。
現在、多摩市ではニュータウン再生に取り組んでいます。3年前に『ニュータウン再生検討会議』をつくり、先日提言をいただくことができました。東京都、UR都市機構、京王電鉄をはじめ地元の企業の皆さんの力をいただきながら、これから先の未来の絵図を描くことができたことも良かったと思います。
ニュータウン再生を進めていくにあたって、今まで法の網、制度の壁があり、リニューアル更新などには都市計画税を充てる対象になっていませんでしたが、国土交通省、あるいは都に度重ねて要請してきた結果、都市計画税がリニューアル更新に使える道が開けたということは、これから先、ニュータウン再生への力強い応援となり、大きな道を切り開けることができると思っています。
このニュータウン再生の中心を担うのは多摩市民の皆さんです。昨年、市民の皆さんと色々な取り組みを行ってまいりました。自治推進委員会が発行した従来の行政にはないイラストをふんだんに使った、書店で販売するという型破りなマガジン風の報告書『たまおが行く』であったり、『みどりのルネッサンス』について昨年9月にシンポジウムを開催することができました。『愛でるみどりから関わるみどりへ』というテーマで、多摩市内の公園等のあり方についてロードマップを作ることができましたし、これからのみどりの体制や公園整備など、将来市民の皆さんが公園で楽しく生き生きと関われるいろいろなアイデアを出していくスタートラインになったと思います。
さらに、『公共施設の見直し方針と行動プログラム』については、昨年から更新に向けて市民の皆さんと一緒に議論し、ワークショップなども開催する中で、様々な課題について整理してきたところもありますので、これから先、実となって大きく結ぶ年になると思います」
――昨年は第五次多摩市総合計画第2期基本計画のスタートの年になりました。
「やはり外せないのが『スマートウェルネスシティ』、いわゆる『健幸都市・多摩の創造』です。多摩市の健康寿命は都内トップクラスで、男女ともに健康で元気な方が多いということが言えます。平均寿命も都内26市の中で3位です。特筆すべきことは、介護が必要な期間(65歳の健康寿命と65歳の平均余命の差)が短ければ短いほど良いという中で、国の平均値と比べても非常に短くなっており、多摩市の特長になっていると思います。寝たきりにならない、そういう介護が必要な期間をさらに短くしていく。これを広げていくのが『スマートウェルネスシティ』であり、『誰もが生き生きと暮らせるまちづくり』を目指すという意味でも、第五次総合計画の中で一番大きな柱になります。他にも2本の柱『市民がデザインするまち・多摩の創造』『発信!未来へつなぐまち・多摩』を掲げています。
『市民がデザインするまち・多摩の創造』で言えば、大学やその学生・教職員、地域に住む自治会・管理組合の皆さんとの連携を深めることによって、いろいろな地域資源を生かしていきたいと考えています。地域資源で言えば、サンリオピューロランドがあり、映画『耳をすませば』はスタジオジブリの公認ではありませんが、聖蹟桜ヶ丘がモデルになったということで、私どもがPRしています。加えて、日本アニメーションのスタジオがあり、昨年『ラスカル映画祭』なども開催することもできました。このように、地元に住み、働き、企業の皆さんと連携しながら、私たちがデザインしていくまちということを進めていきたいと思います。
『発信!未来へつなぐまち・多摩』で言うと、環境に配慮したまちづくりがあります。太陽光発電を進めるため、公共施設の屋根を貸して多摩市として負担なく推進している取り組みができました。ただ、この件については、現在、買取価格制度が経営される側にとっては厳しい条件という話が出てきましたので、太陽光だけでなく、例えば資源循環型として集合住宅等の環境に優しい建て替え、あるいは、付加価値をどうつけていくかという取り組みを昨年から始めています。それらを強めて『発信!未来へつなぐまち・多摩』をさらに前進させていきたいと考えています」
――16年度の予算方針、重点施策についてお聞かせください。
「予算の重点的な取り組み事項としては、これまで話をしてきました『健幸都市・多摩の創造』として市民の健康寿命を維持・増進し、地域における高齢者支援機能等を強化、『市民がデザインするまち・多摩の創造』として市民との対話、協働および情報共有の一層の推進、産学官などと様々な地域資源との連携の推進、『発信!未来へつなぐまち・多摩』として地域の強みを生かした街の活性化と、住宅対策の強化、環境に配慮したまちづくりの取り組み、この3本柱を中心に進めていきたいと考えています」
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