8月12日に大山阿夫利神社で磐長姫(いわながひめ)の鎮座祭を主催する吟剣詩舞道・橘流宗家 鎌田 美佐子さん 上草柳在住 65歳
思いは人を動かす
○…「この世界に新しい風を起こしたい」と15年前に吟剣詩舞の新しい流派「橘流」を立ち上げた。漢詩ではなく、古事記を題材にした独自の演目で舞台に立つ。「古事記に登場する神様たちは、人間臭くて面白い。物語を読み進めるほど、日本人のルーツを考えさせられる」。代表作の『岩戸開き』では、芸能の女神を熱演。「あの手この手で神様を和ませようと踊る姿は現代にも通じる。身近に感じてほしい」と微笑む。
○…伊勢原市に弟子が住んでいたことをきっかけに、3年前に大山阿夫利神社の境内で、大山の伝承を元にした演目『大山祗神話』を舞った。登場人物のひとり磐長姫(いわながひめ)は、顔の醜さゆえに、故郷の大山から離れた場所に奉られる悲劇の姫。「なんとか実家に戻してあげたい」と思い立ったという。3年かけて宮司や氏子の理解を得、磐長姫を大山に迎えることが決まった。鎮座祭では神前報告を行い、琵琶演奏を奉納する。「あらゆる困難から身を守ってくれる姫神。天災からも地域を守る支えになれば」と祈りを込める。
○…宮崎県都城市で、農家の8人兄弟の末っ子として育つ。三味線の名手であった母の影響で、子どもの頃から歌と踊りが好きだった。21歳で結婚し上京。たまたま見た詩吟舞の舞台に惚れ込んだ。「私の夢はこれだ」と吟詠の第一人者・雨宮国風氏の元で芸を学んだ。初舞台では、千人の観客を前に「ワクワクが止まらなかった」と度胸強さも。39歳の時、雨の一字をもらい、橘の香るようにと芸名『橘雨香(たちばなうこう)』を拝命し、活躍の場を広げていった。
○…夫と長男は詩吟、次男は琵琶と、一家で芸を磨く。「自分の行動に責任を持ちなさい」が子どもたちへの口癖。師としては、幼くても芸事には甘えはゆるさなかった。その分、母としての愛情を余分に注いだという。「子どもたちがおこずかいを貯めて買ってきてくれた人形が、今でも一番の宝物」と母の顔。
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