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大和 人物風土記

公開日:2013.09.13

30年以上にわたり太極拳の普及に取り組む
佐藤衛(まもる)さん
つきみ野在住 77歳

毎日が楽しい



 ○…今から30年以上前、当時、大手ゼネコンに勤めていたサラリーマンが大和市内に太極拳を持ち込んだ。大和市役所が発行する『広報やまと』の片隅に会員募集の情報を載せてもらい、12人を集めたのが普及の第一歩だった。「5人か6人は職場から連れてきた人でしたので、実際に興味を持ってくれた人は半分でしたね」そう話すと優しい目じりが一層さがった。



 ○…1936(昭和11)年、東京・世田谷の生まれ。小学2年生のときに学童疎開で長野の松本に逃れ、終戦まで同級生と寝食を共にした。戦後は両親が疎開していた新潟県村上市で高校まで過ごした。大学卒業後に大手ゼネコンに入社。技術畑一筋で定年まで勤め上げた。渋谷の公団から、たまプラーザにマイホームを購入。40歳を過ぎて、つきみ野に居を移した。



 ○…趣味はゴルフ、だった。「お金もかかるし、何か代わりになる運動はないか」と新たな趣味を探し始めるとテレビで流れていたサントリーのCMに目を奪われた。それが太極拳だった。すぐに横浜のカルチャースクールの門をたたいて2年ほど基礎を学び、1980(昭和55)年に大和太極拳同好会を設立。これまでに市の協会や県連盟、全国組織の設立にも尽力してきた。



 ○…週の大半をクラブでの指導で過ごす。地元のつきみ野、中央林間をはじめ瀬谷や厚木にもクラブをもち、門下生は100人を超える。「楽しんでやること。ガツガツせずに楽しんで、終わったらビールを飲む。これが一番ですね」と、さらに目じりが下がる。



 ○…一男一女、孫三人に恵まれ、三つ年下の奥さんと二人、穏やかに暮らす。もちろん体も丈夫だ。奥さんの手料理は大根の煮ものが何よりの好物。「豚肉との相性が抜群です」と頬を緩める。今後の目標は、太極拳の愛好者を今の10倍に増やすこと。



 「毎日の楽しみになれば」



 その願いに、私欲はない。

 

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