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大和 人物風土記

公開日:2014.07.04

吹き手の要望に合わせた「MY篠笛」づくりを行っている
田中 康友さん
西鶴間在住 59歳

伝統の音色 後世に

 〇…50歳でそれまで勤めてきた会社を辞め、自宅の一室を工房に改造。「笛工房 和康」という名前で、オーダーメイドを中心に篠笛の製作に勤しんでいる。音階を調節するチューニングにはパソコンを使用し、宣伝にはSNSのフェイスブックなども活用する。その甲斐もあり、最近では海外からの受注も増えているそうだ。「日本の伝統的な楽器である篠笛の魅力を伝え、広げていく役に立てたら嬉しい」と微笑む。

 〇…祭りの盛んな鷲神社がある東京都大森の生まれ。神楽囃子の担い手でもあった父の影響で、10歳の時に篠笛を手にした。「お祭りで笛や太鼓が演奏できないと、浮いちゃうような特殊な地域でした」と笑う。20歳の頃には深川や浅草など東京各地の祭りに赴き、地元の人たちと一緒に演奏することにのめり込んだ。気付けば笛づくりにも興味を持ち、師匠につき指導を受けた。仕事のかたわら笛を作っていたが、師匠が体調を崩したのを機にその志を受け継ぐことを決意。奥様の反対を押し切って笛職人の道を選んだ。

 〇…2人の娘の父親。次女はプロのダンサーで、有名なミュージカルにも出演。バックダンサーとしてNHK紅白歌合戦のステージにも立ったことがあるという。「娘は2人ともお祭りが大好き。仕事を辞める時も反対されなかった」と笑う。多忙になったため、最近は趣味のゴルフに行けないのが悩みの種。「若い時は年間で100ラウンド位回ったのに」と残念そう。

 〇…今、力を入れているのは「MY篠笛づくり」。吹き手の用途、楽曲、環境に応じて、その人に一番合った笛作りを考える。屋内や屋外など、演奏する場所によっても調律を変えるそうだ。完成までにかかる期間は約1カ月。「日本でもここまでする人は少ないでしょう。だからやっているとも言えますが」と苦笑い。購入した人がかけてくれる『値段が安すぎる』という言葉が、何よりのご褒美だ。

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