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地域クローズアップ 「自分を大切にすることができる人に」 高座みどり幼稚園 鈴木裕美園長
家庭や地域を取り巻く環境が変化するなかで、保育や幼児教育の在り方が問われてきている。少子化や待機児童問題などがあるなかで、幼稚園などの運営はこれからどうあるべきなのか。多くの葛藤を抱えながらも、各園で将来に向けての選択が始まろうとしている。9月の中旬に大和市初の認可幼稚園で65年の歴史を持つ、南林間の学校法人高座学園・高座みどり幼稚園を訪ねた。
子どもたちが園庭で元気な声を上げて走りまわっているそばを通り、仮園舎へ向かった。同園では来年4月に開園予定の新園舎の工事が始まっており、職員室や事務室も園内の仮園舎に移っているからだ。
「お待ちしていましたよ」と明るい笑顔で迎えてくれたのは、鈴木裕美園長。さっそく話を聞いた。
変わる家庭環境
「私自身が感じていることは、家庭環境が本当にいろいろ変わってきているということです」。満3歳から小学校就学前の幼児を預かるのが幼稚園。同園では昨年度から長時間の預かり保育も始めたという。「実は一時預かりは以前からやっていました。就労や介護等で恒常的に長時間保育を必要とする人たちを助けられないか、と組織を整えてスタートしたのです」。
子育て支援事業では就園1年前の親子クラスの他に、週に1回「幼稚園開放」なども実施してきた。
園も地域と共に
「幼稚園開放は通園されている方々だけではなく、就学前のお子様を持っていらっしゃる方ならどなたでも、赤ちゃんだって親子でいらして下さい、と門戸を広げたのです」。その反響は大きかったという。
まだ首が座らない子どもと一緒に来る保護者、そのうちに悩みを抱えた子育てママたちも訪れるようになった。「幼稚園に入っていなくても、園に援助の手を求めている人が増えてきている」と実感した。「園に通う親子だけではなく、地域に住んで幼子がいるご家庭に対して私たちの持っているものを提供できないだろうか」との思いが日に日に強くなっていった。「それは何かをして差し上げるのではなく、一緒にやろうということ。私たちもそこから多くを教わるのですから」と一つひとつかみしめるような言葉が続く。
自身の子育てと保育への想い
一人息子の母親でもある。自身の育児の際にも、『保育をしたい』という気持ちにつき動かされてわが子を保育所に預けて勤務した。「小さい時から同年代の子どもと、叩き叩かれるようなこともあれば、上手にやりとりができたりするなかで、人と一緒に育つということを自然にさせてもらえました」。今では大学生になった息子。多くのことに直面するたびに自分で乗り越えていこうとする力は、この頃の体験を通して育まれたと分析する。
通園する子どもたちのなかにも一人っ子は少なくない。そういった子どもが自分より少し小さい子どもと接するなかで、我慢することを覚えたり、不器用だけれど、この子のために何かしたいと失敗しながらもやってみる。
先生から「よく我慢したね。よくやったね」と褒めてもらうことで、自分の存在価値が高められていくという。「それが結局自尊感情につながる。自分が大切な一人として先生や周囲から見守られている、という認識がこの時期にはとても大事なことだと思います」
教会付属の幼稚園身近な祈りと感謝
「祈りは礼拝という決まった形だけではないですよ」と目が輝く。園庭で園児が興味を示した葉っぱのしずく。そのしずくが日に当たってきれいなことに子どもが反応する。「そうね、で終わるのではなく、そうだね不思議なものをみせて下さって嬉しいね。神様ありがとう、とお祈りしよう」ということが日常よくある。
「現実的な世の中にあり、目に見えるものだけを信じていくような時代ですが、人の成長にとって目に見えないものを尊重していくということは、ある意味で生きる力を育てていることだと私は思うのです」
創立時から変わらない根底に流れる理念
初代園長を務めた田中清隆さんの教えが教師たちの根底に流れているという。「先生は『ここにいる子どもたちにとって何が一番大切なのかということを考えなさい』と保育者だけではなく保護者にも何度も繰り返しおっしゃいました」。それは大人に都合が良い子どもではない。「自分で考えて行動し、その時々を貴重な時とし、その子が自分を出す場所として家庭や幼稚園があるべきということです」。
子どもの育ちのなかで、身体や社会性、知的部分の成長に比べ、心の問題は時間がかかりすぐに成果が現れないもの。「大人が真実に願って祈りながら子どもが答えを出すのを待っていく。そういったことがこの乳幼児期には一番大切なんだろうなと考えています」。
※ ※ ※
高座みどり幼稚園は隣接するカンバーランド長老キリスト教会高座教会の付属幼稚園として、1949年に南林間で開園した。
「地域に奉仕をする働きとしてこの幼稚園ができました。いま、その原点に立ち返ったときに、私たちは地域での子育て支援などが制度の柱になっている『認定こども園』への移行を決意しました」(鈴木園長)
同園は2015年4月、大和市初の「幼保連携型 認定こども園」を開園予定。
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