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大和版 公開:2019年8月23日 エリアトップへ

大和市平和都市推進事業 ”お遊戯会の会場”で凱旋上映 大川史織監督『タリナイ』

文化

公開:2019年8月23日

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横浜シネマリンでのアンコール上映で。左が大川監督。右は同社の八幡温子代表
横浜シネマリンでのアンコール上映で。左が大川監督。右は同社の八幡温子代表

 大和市出身・大川史織さん(31)の初監督作品『タリナイ』が9月8日(日)、保健福祉センターで上映される。映画は、太平洋戦争で南の島「マーシャル諸島」に送られ、戦死した父の日記を手掛かりに、現地で父の最後を巡る佐藤勉さんの旅を追ったドキュメンタリー作品だ。

 大川さんは、1988(昭和63)年に中央林間で生まれ、6歳までを市内で過ごした。自作が上映される保健福祉センターは、大和中央幼稚園(現・中央林間幼稚園)在園の「3歳の時に、お遊戯会で踊った場所のようです。母の記憶ですが」とはにかむ。

 大川さんにとっての戦争は、祖父・祖母の体験談。特に17歳で終戦を迎えた祖父は、大川さんが小中学生の頃、自身が同じ年の頃の様子を語って聞かせてくれたという。

 2005(平成17)年、 愛知県で開催された「愛・地球博」を訪れた大川さんは会場で、市民プロジェクトを通じて、核兵器のない世界の実現を願う「高校生1万人署名活動」を知る。当時都立高校の2年生だった大川さんは「自分にも何かできることはないか」と、都内の駅頭で署名活動を始めた。翌年、自らが高校生平和大使に選出される。「広島、長崎の歴史を自分の言葉で語りたい」との思いと「国内の目線だけでは、核廃絶は伝えられない」との思いの中、インターネットで当時関心のあった『核』『開発』『環境』に『ツアー』を入れて検索し、ヒットしたのが「マーシャル諸島スタディツアー」だった。

きっかけは好奇心繋いだのは言葉と歌

 「マーシャル諸島」は、日本から4500Km離れた太平洋上に浮かぶ島国。かつて日本の委任統治領で、太平洋戦争の戦場にもなった南の島々だ。

 1954(昭和29)年、アメリカによる世界初の水爆実験が行われた「ビキニ環礁」は、マーシャル諸島の中にある。「ビキニ環礁や第五福竜丸の言葉を知っていた位」という大川さんは、10日間のツアーで日本とマーシャルの繋がりを初めて目の当たりにする。

 島に残る戦争の爪痕。対照的に日本からは消えつつあるマーシャルの記憶。しかし何より大川さんの心を捕えて離さなかったのが、現地の人々の言葉と音楽だ。

 マーシャルには委任統治時代に沖縄などから移住した人も多く、「チャンポ」(散歩)、「アミモノ」(編み物)など日本語由来の言葉が数多く残り、「コイシイワ アナタハ」と日本語の歌詞が歌い継がれている。「ただ帰国するとマーシャルに関する資料は少なく、つながりを断たれた感じで…。『誰かが』調べるのを待つのではなく、自分で調べよう―」。大学に進学し、就職を目前に控えても旅の記憶が色あせることはなかった大川さんは、大学を卒業すると、現地の日系企業に就職。「伝えたい思い、言語化できない情報が多く、映像にして届けるのが一番」と、2011年から3年間、働きながらカメラを回し、日本とマーシャルの歴史を切り取り続けた。

 日本に帰国後の2015年、大川さんは、戦時中マーシャル諸島に従軍し、餓死した父の戦友から届いた父の日記を持つという佐藤勉さんと出会う。戦争当時2歳だった佐藤さんは、死の直前まで自分たち家族を想う父の日記を見て、大川さんに、父が眠るマーシャルへ一緒に行って欲しいと依頼する。翌年、大川さんは佐藤さんに同行。その様子を交え、映画『タリナイ』は誕生した。

 『タリナイ』は昨年9月、アップリンク渋谷での公開を皮切りに、全国各地を巡り、今年3月にはアメリカでも上映された。

 8月12日に横浜のシネマリンで1週間アンコール上映が行われた際には、マーシャル諸島での上映会を終え、前日に帰国したばかりの大川さんが舞台挨拶に訪れた。大川さんは「現地で上映して、フィードバックを終えて、やっとスタートかな」と疲れを見せず、安堵の表情を浮かべた。

マーシャルへの旅は続く

 大和市保健福祉センターでの上映会は、午後1時30分から。大和市平和都市推進事業の一環で、上映の前には「ヒロシマ平和学習派遣事業」に参加した小・中学生による報告会も行われる。当日は大川さんによるトークショーも予定されている。終了は午後4時30分ごろの予定。大川さんは「観た後に、マーシャルのことに関心を持つなど、触れてもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。

 大川さんは現在、国立公文書館アジア歴史資料センター調査員として働きながら、マーシャルへの思いをつなげている。今後はアジア各国での上映も視野に入れる。「佐藤さんは、3年計画で『あと2回くらいは(マーシャルに)行けるかな』と意欲満々でした」と微笑んだ。

 チケットは一般前売り500円、当日800円、18歳以下はどちらも100円。チケットは国際・男女共同参画課、イオンモール大和、イトーヨーカ堂大和鶴間店、イオン大和店で購入可能。2歳〜就学前幼児の保育あり(無料、先着8人、チケット購入後要申込み)。

 問合せは国際・男女共同参画課【電話】046・260・5164。

 映画『タリナイ』は、大和市での上映後も、上智大学(9月14日)、明治学院大学(9月29日)などでの上映が決まっている。情報はホームページhttps://www.tarinae.comで。

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