徒然想(つれづれそう) 連載 268花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
今月は、布施(ふせ)というは、不貧(ふとん)なり。不貧というは、貪(むさぼ)らざるなり。貪らずというは、世の中にいうへつらわざるなり、です。
出典は、道元『正法眼蔵』(菩提薩埵四摂法)。
意は、布施というのは、欲しがらない。欲しがらないということは、貪(むさぼ)らないことです。貪らないということは、世の中でいう阿(おもね)ないということです。
菩薩が人間を救うにあたって、人々を教えて導いていくための四つの方法を四摂法といい、布施は、与えること・愛語は、優しい言葉・利行は、人々のために気配りをすること・同事は、相手と同じ立場に身を置くこと、を説いている。
その布施ですが、財物を施す財施と、教えを説き聞かせる法施と、恐れを取り去る無畏施(むいせ)とがある。布施は貪らないことですが、貪らないとは、物をあたえる人と受ける人とが清らかでなければならないということです。
与えるに当たって、惜しむ気持ちがあったり、自分がこれだけの事をしてやったのだという慢心があったり、相手に阿る気持ちがあったのでは真の布施にはならず、清らかな慈悲心から出たものでなければならない、と師は教えている。
桃蹊庵主 合掌
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