徒然想 連載278 花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
生命力あふれる今月は、万物が躍動する季節です。花々も次から次へと華やかな開花リレーを見せます。
今月は、一休の「露と消え まぼろしと消ゆ 稲妻の 影のごとくに 身は思うべし」です。
師が三十一文字に仏の教えを歌った道歌のひとつです。朝露が朝日が出ると同時にはらはらと落ちてゆく、これと同じように儚く消えてしまう人間の命、稲妻のピカッと輝いて、その瞬間に消えてしまう光のように、あっという間の人間の儚い命、ああ、うっかりしていると今日にも明日にも突然に死んでしまうかもしれない自分の命、と思った時に、いま自分が人間として生きている、いや、生かされている尊い命に自然に感謝の心が湧いてきます。その命の不思議さに驚かされます。
死を恐れることよりも、難値難偶人間として生まれてきた縁を心より感謝したくなる、と、この歌は教えています。
生きているというより、生かされているこの命、この事をしっかり自分で意識した時に、生命の価値が大きく変わります。無理せずに自分らしく、少しでも役に立つ事があれば、行動していきたいと思う日々です。いただいた命ですから。
桃蹊庵主 合掌
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