徒然想 連載285 花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
一年最後の月になり、慌ただしくなって来る時節です。
今月は、示に曰く、広学博覧はかなうべからざることなり。一向に思い切って留るべし。只(ただ)一事に付て用心故事をも習い、先達の行履をも尋ねて、一行を専(もっぱ)らはげみて、人師先達の気色すまじきなり、です。
出典は鎌倉、道元(どうげん)の言葉。『正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)』です。
意は、ひろく学問をし、あまねく書物を読むことは、到底できるものではない、すべて思い切ってやめるてみるがよい。師の言葉や行動を学び、修行のあとにのこった道標(みちしるべ)よく勉強して、一つの行に専心努力しなさい、人に対して先生ぶったり、先輩顔をしないことが大切です、ということです。
師は、何を専一にしたらよいか、それは代々相伝えている座禅と、人間として生涯、自分が打ち込んで悔いのない道を見つけ、それを迷わずに歩んで行くことが大事で、日々感謝し、生かされていることを確かめてゆけば、生半可な知識を振り回したり思い上がりな人に決して陥ることはない、と説いています。
末筆ではございますが、読者各位にとって来る年が善き年であることを心よりお祈り申し上げます。
桃蹊庵主 合掌
|
<PR>
|
|
|
<PR>