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大和 コラム

公開日:2022.09.23

徒然想 連載294
花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄

 今月は、水体(すいたい)の本有(ほんぬ)として方円(ほうえん)の形をする故に、器に入る時、方円と成(な)る、です。



 出典は、平安、皇覚(こうかく)著、『三十四箇事書(さんじゅうしかのことがき)』。



 意は、水はもともと四角い形や丸い形になる性質をもっているので、器にしたがって四角にも丸にもなる、ということです。



 三十四箇とは、当時の天台教学の重要な論点を三十四条にまとめたものです。この文言は、その第二十四「常差別三身の事」です。佛のあり方を三身に分けて説いています。



 三身とは、法身・報身・応身、です。法身とは悟りの内容そのもので、報身とは修行の果報(結果として自身に返ってくることがら)として勝ちとった佛の姿で、応身とは救うべき相手に応じてあらわれた姿です。



 法身が、または報身に、あるいは応身といってもあらゆる場合に応じていかなる姿にでもあらわれるのは、本来の法身に、それぞれの姿がもとから備(そな)わっているからで、千変万化の姿になり衆生を救済する事が可能だと教えています。



 冒頭の文言で師は、仏のあり方を分かり易く、水に例えて私たちに諭しているのです。



   桃蹊庵主 合掌

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