大和 コラム
公開日:2023.01.13
徒然想 連載298
花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
明けましておめでとうございます。今年度も拙い文言ですが、宜しくお願い申し上げます。
新年度は、心 動ぜざれば山王(さんのう)のごとし、です。出典はインド、大乗経典『華厳経』巻二十三巻です。
意は不動の心は山のようだ、です。私たちの心は常に右へ左へ往き、好い悪いと揺れ動き、思いどおりになったといって喜び、思うようにならないといって悲しむ。一喜一憂して決して定まらない。生、老、病、死の出来事に、憂い悲しみ悩み愁嘆する。この千々に乱れる心をしっかり調える事の重大さを仏教は教えています。
私たちの心はさまざまに変動する生活環境の中で、木の葉のように乱れ揺れ動いてしまう。そういう自己の中の心から目をそらさずしっかり見据えることによって、おのれをどう調え、どう生きていくかという活路を見出すのです。自己を学び、自己を確立するという意味です。
「自浄其意(じじょうごい)」(自らのその意を浄める)は、仏教に一貫する課題です。揺れ動く心の姿を観察して、全ての出来事をありのままに受け入れる時、乱されない山のようにどっしりとした山の如く堂々とした坐りが得られると、師は短い文言で私たちに教えています。
桃蹊庵主 合掌
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