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大和 コラム

公開日:2025.09.12

徒然想 連載330
花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄

 今月は、無常を恐れおののくことを宗教心という、です。

 出典は、インド、原始経典。

 無常とは、人間が認めたがらない自分自身についての事実で、自然の変化ではなく、他人の運命でもなく、自分自身が毎日毎日、死と隣合わせで生きているということ。そして死に対する恐れは生に対する執着の反面であり、死を恐れるのは生の常を願う心の影です。これが宗教心を起こさせる事にほかならない、ということです。

 私達は近親の人の死で世の無常を感じることがあります。この事が執着の心を捨てさせることになり、更には時を惜しみ、正しい精進努力に心が自然に向かっていくのだと思います。

 精進努力とは、この無常という事実には眼を覆うことも、これに背くことも、逃れることもできない動かしがたい事であり、この事実を事実として受け止め、自分自身の役割と使命を果たしてゆくことになっていくのです。

 無常を無常として受け入れて、それにとらわれなくなった時が佛の智慧の働く世界になると、教えています。

桃蹊庵主 合掌

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