海老名市職員森川浩次さん 「『がれき』に抵抗感」 1年の被災地派遣から帰任
東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市に復興支援を目的に昨年4月から派遣されていた海老名市職員の森川浩次さん(47)が1年間の活動を終え帰任した。
石巻市は震災で死者3145人、行方不明者447人、家屋も全壊が2万2357世帯、半壊や一部損壊も含めると約5万4千世帯が被害に遭った(2012年12月末時点)。
森川さんは災害廃棄物対策課に配属され、「がれき」の仮置き場の管理などを主に行っていた。石巻市を訪れたのは今回が初めてで、「震災の実情もテレビの映像や写真でしか知らなかった」という。しかし現地に足を踏み入れるとすぐに写真の世界と現実の違いを痛感。「壊滅した地区を歩いているだけで自然に涙があふれてきました。津波で亡くなった方たちのことを考えると…」。時折目を赤くして話を続けた。
赴任当初は家や建物が壊れかけで、そのまま残っている状態だったがこの1年で取り壊し作業が進み、「この場所には何もなかったのでは」と錯覚するほどになった。また20数カ所あった仮置き場も、現在は徐々に集約に向かっているという。
持ち主には「宝」
「がれきと一言でくくってしまうことに強い抵抗がある。写真やランドセル、野球のボールなど持ち主には大事な宝だったはず。亡くなった方の持ち物もたくさんあるはずですから。現地にいなかったら『がれき』のままだったかもしれない」という。
体験を伝えていく
「海老名市は津波の心配はないが、万が一に備え、日頃から避難経路や場所の情報は確認しておいた方がいい」と訴える。
1年を振り返り「被災地を知ることができいい経験をさせてもらった。一生忘れられない1年になった。機会があればこの体験を多くの人に伝えていきたい。一人でも多くの人に足を運んでもらい元気を届けて欲しいです。石巻が『第二のふるさと』になった」と話す森川さん。「今後も微力ながら復興に協力したい」と話した。
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