乳がん治療のクラウドファンディングを応援し、地域で周知活動をする 関山 厚子さん 座間市入谷東在住 58歳
病をバネに 人のため生きる
○…自身の乳がんを治療した「命の恩人」が立ち上げたクラウドファンディングを応援するため、チラシを自作し、近所の商店や病院などに設置を依頼している。「一人で飛び込んでお願いに回るなんて経験したこともありませんし、正直苦手。『先生への恩返しのためだ』と自らを奮い立たせて緊張しながら行くのですが、皆さん協力してくれるので嬉しい」と明るい笑顔を見せる。
○…夫は10年前に食道がんで亡くした。発覚してからわずか3カ月、50歳の若さだった。激痛に苦しみながら泣き言一つ言わない夫。「高い水とか、磁気グッズとか、奇跡を信じて頼りたくなる気持ちが分かった」。夫の死去後は気持ちの整理がつかず、銀行員の仕事をやめた。闘病中の時期に咲いていた桜を見ると、今でも胸が張り裂けそうになる。
○…気分転換に、と芸術家の友人が勧めてくれたクラフトアート。ガーゼを染めて立体的な花を創作していると心の穴が埋まったようで、独学で作家活動を始めた。2015年、15年ぶりに受けた市の乳がん検診でがんが判明。「久しぶりの検診で早期に分かったのは、夫が天国から教えてくれたのかな」としみじみと話す。手術を経て現在も投薬治療を続けながら作家活動をし、がん患者の悩みを聞くボランティアも行っている。
○…生まれ育ちも座間。夫や自身のがんについて近所の人に大っぴらにしてこなかったが、「活動を知ってもらえるなら」と今回、取材に包み隠さず応じた。「私のことを『かわいそう』と思ってほしくない。病気をしたことで、一日一日を大切に生きようと思った。病気って悪いことばかりじゃないんですよ」。華やかな服に似合うお洒落な眼鏡の奥で、瞳が力強く輝いた。
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