石工としての功績が評価され、文化庁長官表彰を受賞する 會澤 敏夫さん 座間市ひばりが丘在住 72歳
技術を次世代へつなぐ
○…武家時代の象徴ともいえる城の石垣、とりわけ文化財に指定されている石垣の伝統技術を次世代に継承する文化財石垣保存技術協議会(兵庫県姫路市)で、2008年から役員を務めてきた。石工としての技量、実績はもとより、2016年から副会長を務める活動が国から評価された。手掛けた城の石垣は全国9カ所にのぼる。「石垣を守るために奮闘したみんなの賞」と、14日に文科省で行われる表彰式にのぞむ。
○…茨城県出身。石工の祖父と叔父の背中を見て職人を目指した。22歳で上京、文化財を手掛ける石材会社に就職し見習いの石工として道を歩み始めた。下働きとして初めて参加したのは皇居のお堀だった。先人たちの技術に目を奪われ、石工としての技術習得にいっそう没頭するようになった。県内では小田原城の石垣改修もてがけた。「石に問いかけながら成長した」という。
○…今年11月、東京都大田区から座間市に移住した。肺を患い入院したことがきっかけで、座間には娘夫婦がいた。会社には今も籍を置くが、第一線からは退いた。今は妻と二人で過ごす。「現役の時は単身赴任が長かった。この歳になるまで家族とゆっくり過ごす時間が少なかった。今はとても新鮮な気持ち。まるで新しい人生が始まったみたいだ」と笑う。
○…毎日1時間の散歩が日課。座間にはまだまだ「土地勘がない」が、地域で見つけたカフェや公園など毎日の発見を妻と楽しんでいる。自分の時間が増え、これからを考えるようにもなった。「まずは妻と2人の時間を大切にしたい。それから後進の育成。若い職人たちに自分の磨いてきた技術を全部残していきたい」。50年の石工人生で身に付けた確かな伝統技術を次世代につなぐ。
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