県優良小売店舗表彰を受賞した学生服販売店(有)田原屋の代表を務める 多田 明さん 南栗原在勤 76歳
「田原屋」一筋、60年
○…神奈川県庁、11月26日。黒川雅夫副知事から「県優良小売店舗表彰」を受けた。「いやあ、さすがにちょっと緊張したねぇ」と目を細め、当日の写真を見ては「もうちょっと笑った方がよかったかな」と首をかしげる。学生服の販売を手掛ける「(有)田原屋」は、1947年創業の老舗。叔父から店を継ぎ、大和店は妻が、座間店は自身と息子とで切り盛りしている。
○…8人兄弟の7男として生まれた。中学卒業と同時に、洋品店「田原屋」を営む叔父の家に「丁稚奉公」。学生服販売に参入した際には、地域での信頼づくりに奔走した。ひばりが丘やさがみ野に店を構え、1998年、南栗原に移転した。「田原屋」ひとすじ60年。取り巻く環境は変わったが、昔からの理念「良い物を安く」は変わらない。
○…「宴会部長」を自称するほどの宴会好き。中でも歌が大好きで、マイクを握ると手放さない。画面は見ず「観客」を見て歌うのがポリシーだ。一時はボイストレーニングに通い、茅ヶ崎で行われた大会のステージに立った経験も。「もっぱら歌うのは演歌。サブちゃんが好きでね。2時間くらいなら余裕で『オンステージ』できちゃうよ」。地域の仲間と旅行に行くことも多く、この前は名古屋、その前はスカイツリー…と、思い出話は尽きる気配がない。「とりあえず、(東京)五輪までは元気でいよう、と酒を飲んで笑って。これが一番のストレス解消法」
○…店内には学ランやブレザー、スカート等が所狭しと並ぶ。その全てに、サイズや校名が手書きで書かれたタグ。一見同じように見えるが、着る人に合わせ、少しずつ違うのだろう。その一着一着に、思いが込められる。採寸しながら「この子は3年間で背が伸びそうだな」とプロの視点で「一味」加えることも。「学生服は、元気な子どもたちが3年間毎日着るものだから。ごまかしはきかないよ」。実直に、真面目に地域の子どもたちを支え続けている。
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