市内寿町の郷土資料館で「刀の世界―小刀百人一首」と題した展示会が5月28日(月)まで開かれている。市内関口に鍛錬所を構える現代刀匠の廣木順一さん(63)の作品102点と収蔵資料7点の109点が展示されている。
この作品展は、日本の匠の技を地域住民に紹介することで、日本古来の技の継承や文化を理解し、刀の世界に興味を持ってもらおうと初めて企画された。
今回の目玉は、藤原定家が撰集した小倉百人一首の上の句と下の句を草書体で一首ずつ刻んだ小刀。刃渡り15センチ、幅1・2センチ、重さおよそ700〜800グラムの100本。3カ月間の作刀期間を経て、2010年に完成させた。
学生時代に百人一首をかじり「今のうちに作っておきたかった。日本刀とはまた違った楽しみ。”遊び心”を出して子どもや女性にも受け入れられやすい百人一首をテーマにできれば」というのが作刀の動機だ。
地道な作業の積み重ね
今回の作品の工程は、和鉄の鍛錬、平板に伸ばす素延べ、刀を形状にする火造り、やすりかけなどの下地作りの後、下書き、銘切り、刀を加熱し急冷する焼入れなどを行った。「文字を彫るときの配列や焼入れが難しかった」と振り返る。
廣木さんは、1948年福岡県生まれ。日本の刀鍛冶の最高位・無鑑査16人のうちの一人。「無鑑査」とは作刀に関する調査研究等を行い文化の普及と文化財の保護に尽力する(財)日本美術刀剣保存協会が主催する新作刀コンクールで特賞を複数回以上受賞した人に与えられ、廣木さんは1996年に認定された。
1965年、作刀家の故隅谷正峯氏に入門、鍛冶の父からは作刀と鍛造を教えられた。1971年には刀剣鑑定家池田末松氏から「刀だけを作るのではなく、あらゆることを学び、刀に生かしなさい。枝葉を広げ幹は太く」と技術や考え方を学び、名刀に触れてきたことが作刀の転機になった。市内で鍛錬所を開設し独立したのが1973年。故隅谷氏と父の”ふたりの師匠”の存在が今の作刀に生かされているという。
廣木さんは「日本刀は”恐い”というイメージが女性にはありますが、伝統工芸の世界を垣間見ていただければ嬉しいです」と話している。郷土資料館によると「初日から出足好調」とのこと。日本を代表する名工の作品に触れる貴重な機会になりそうだ。入場無料。問合せは、市文化財保護課【電話】046・225・2515へ。
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