厚木・愛川・清川 ♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森コラム
公開日:2012.08.03
♯みゅーじっくコラム♭
音楽の森
ピアニスト 倉本 卓
先日、大学の図書館でショパンの直筆譜のコピーを発見しました。
ショパンの珠玉の曲の譜面が数多くあり、私は胸を躍らせながら目を通しました。そこから伝わってくるのは、いわゆる楽器店で購入する楽譜からは感じられないショパンの息遣いや匂い。まるでショパンが傍にいるような不思議な気持ちになりました。
以前にもショパンの直筆譜を少しは見たことがありましたが、これ程多くの作品の譜面を見るのは初めてでした。有名な「別れの曲」などは、中間部の和音が一般に弾かれている和音とは違う音で書かれていて、大変興味深いものでした。生前最後の作品となったマズルカop.68-4の楽譜に目を通した時、哀愁感が込み上げてきました。病床で苦しんでいたショパンはどんな心境でこの曲を書いたのでしょうか。直筆譜から伝わってくる嘆きや悲しみは、市販の楽譜からはこれほど感じることができません。
ショパンに限らず過去の作曲家の直筆譜を見ることは、作品を深く解釈する上でとても役に立ち、新たなインスピレーションが湧くのではないでしょうか。
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