♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓(市内長谷在住)
ショパンのノクターン(夜想曲)全21曲をこの夏に収録する予定です。ノクターンというと、映画「愛情物語」や「戦場のピアニスト」などで話題となった名曲もありますが、初期の作品から最晩年のものまで全曲通して演奏していると、まるでショパンの人生を追っているかのように感じます。17歳の作品も最晩年の作品にも、ショパンのノクターンには常に「歌心」があります。歌詞はなくとも、嵐のような激しい怒りや悲しみの部分があり、喜怒哀楽がはっきりと楽譜上に表現されています。
イギリスの作曲家ジョン・フィールドに影響されてノクターンの作曲を始めたそうですが、初期の作品はフィールドの影響を感じさせる部分が多くあるのに対し、中期から晩年の作品ではもはやショパンの独創性で進化したノクターンとなっています。最晩年に書かれた21番目の作品の譜面には強弱がまったく書かれていなくて、すでに気力、体力が失われつつあったのでしょう。
しかし、たった2ページの曲ですが弾けば弾くほど、そこからショパンの晩年の悲しみ、孤独などさまざまな感情が溢れ出てきます。一つの作品が作曲される前後にはどんな背景があるのか、作曲家の生涯をどれだけ理解し感じ演奏に生かすか、演奏家としての腕が試されるところです。
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4月19日