特集版あっとほーむデスク
今回の文字・活字文化の日特集は、それらに携わる仕事をする者として、年に一度「活字が好きだ!と叫びたい」という思いに端を発した。遡れば今年4月ころ、本厚木駅南口のスイス菓子ポニイで、店主の岸田嘉夫さんに見せてもらったレシピノートから、ひらりと落ちてきた23年前の新聞記事の切り抜きがきっかけだ。当時、神戸で修業中の岸田さんは、阪神大震災を体験。働いていたパン店も被災し、休業に追い込まれた。新聞記事は「震源地発」と題し、休業を告げる店の貼り紙に、遠方からの来訪者が応援のメッセージを書き込んでいた、と報せていた。変色した紙からは古い匂い。23年前の空気を、その時の岸田さんの気持ちとともに、今に届けてくれたような気がした。「紙は死なない」―。この切り抜きを思い出すと、いつも励まされるような気持ちになる。 (ゆ)
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