▽1989年の設立以来、30年の長きにわたって「玉川アルプホルンクラブ」を支えてきた中川重年さん(72)。市民団体の代表として、アルプス地方に伝わる木製の楽器「アルプホルン」を手作りし、スイスの民俗音楽を楽しむ事で、様々な形で国際交流を試みてきた。
▽七沢森林公園での月1回の演奏会を中心に、その活動は多岐にわたる。全国各地でアルプホルンの作り方を広めるワークショップや実際にその音色を披露する演奏会を開催。一昨年には、スイス大使館との縁が派生し、クラブの日本での活動やスイスのアルプホルンのコンクールに日本から初めて出場する様子がスイスのテレビ番組で取り上げられ、約1時間のドキュメンタリーとして放送された。そのまた縁で、スイスのアルプホルンクラブが来年4月に来日することになっている。今年1月にはカンボジアで演奏会を開催。世界中にアルプホルンとスイス音楽の輪を広げている。
▽「作る」「楽しむ」「国際交流」。活動を広く、長く続けられている秘訣は、この3つの柱を軸にブレずにいる事と、クラブが自立している事だそう。練習などで地元の公民館を利用することは多々あるが、頼りきらず、七沢の自然の中に拠点「クラブハウス」を持ち、活動はあくまで自主的に行う。
▽「死ぬまでやるよ」。その笑顔の裏には、これまでスイスの音楽や文化の普及をけん引してきた自負がある。「今さら辞める訳にはいかない」。
▽来年8月には、スイスの建国記念日にちなんで行われるスイス大使館主催のイベントに出演する予定だ。「100本以上のアルプホルンで演奏したい。目標は、クラブ記録の138本以上。今からでも間に合います。一緒に挑戦しませんか」と中川さんは最後にニカっと笑ってみせた。
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