厚木・愛川・清川 意見広告
公開日:2021.03.26
未来に向けたまちづくり 意見広告
現在の事業を分析・評価し、新たな経済発展基盤への公共投資(土地区画整理事業・再開発事業)が必要
厚木市議会議員(会派あつぎの会) 井上敏夫
コロナ禍、新たな日常を受け入れ、多くの困難に耐え、克服するための努力が求められる中、経済活動の停滞による損失は広範な職種職域に及んでおり、税収減は感染症対策を始め市民サービスの低下に直結します。行政は、市民の生命財産を守るため、財源確保と地域経済の回復に向けた施策を明確に示す必要があると考えます。
経済発展基盤への公共投資を標榜
厚木市は地勢的な優位性から交通の要衝地であることに変わりありません。そのためにも土地区画整理事業や再開発事業による計画的な公共投資は、豊かで安全な市民生活や経済発展の基盤となる社会資本整備を担う財政支出であり、建設部門のみならず幅広い産業分野における生産を誘発する効果があります。
事業を正しく理解し進めることのできる人材を育成することは市民の大きな財産となります。
森の里東土地区画整理事業
現在、市内では二地区において土地区画整理事業が進行中ですが、令和6年度の完成を目指している厚木市森の里東土地区画整理事業に焦点を当て、本会議での一般質問の答弁も織り交ぜながら取り上げました。
本事業に対する市民・納税者皆様の厳しい監視が必要であると考えます。
専門監人件費3200万円
平成23年9月1日付で特定任期付き職員を採用し、専門監として、まちづくり事業課(退職時まちづくり推進課)に平成26年8月末日まで三年間在職。市長は「専門職員を配置して執行体制の強化を図っている」と答弁しています。
組合事務局長に就任定年迎えた元部長二人も
任期満了により市を退職した元専門監は、森の里東土地区画整理組合事務局長に就任。この事について質問したところ、都市整備部長は「準備委員会の強い要請により就任した」と答弁しています。専門監在職中の上司であった元部長、元担当部長は定年退職後、当組合事務局次長、業務代行者である建設会社に採用されています。
平成26年組合事務所竣工厚木市森の里東拠点整備事務所が間借り職員常駐
平成26年後半には、組合事務所に事務局員が常駐し業務を始めています。また、組合事務所に間借りして、厚木市森の里東拠点整備事務所(平成27年4月1日新設)を開設、職員が常駐して賃借料の支払いも生じました。
森の里東拠点整備事務所は、当地区の地区外関連(道路、排水路)事業を担当し、総額は執行済み額・見込額含め、9億2447万円となっています。現在は、まちづくり推進課内に森の里東・酒井地区整備担当課長を置き、森の里東・酒井地区整備係で対応しています。
業務代行方式採用
組合設立認可一年前の平成25年11月28日、組合設立準備委員会と事業者との間で基本協定が締結されました。業務代行方式を採用した理由を「民間企業の技術、知識、経験及び資金力等を事業の推進力として活用する」としています。
厚木市の技術的援助
平成27年6月定例会一般質問で市長は、「土地区画整理法及び厚木市土地区画整理事業助成規則の規定に基づく技術的援助の請求を受け、事業の施行が円滑に進められるよう、事業計画や補助金申請などに対し、専門的知識を有する職員が技術的援助を行っているところであります」と答弁しています。
具体的には、指導・助言・支援で、公金の支出もあり準備段階から解散に至るまで関わることが常識です。組合設立後の調査設計業務、工事費積算、入札契約に関わる厚木市のチェックがどこまで機能しているかは不透明です。
組合設立準備に要した厚木市の予算少なくとも2億9百万円
この予算は平成25年度において当地区の各種調査設計業務委託に充てられたもので、予算執行はすべて担当課発注です。予算執行では専門監の権限は絶大であったと考察しています。平成26年2月定例会では専門監が就任して以来、三地区の調査業務に関わる予算が膨張している事を指摘し、役割について質問しています(お手数ですが議事録を検索してください)。
組合設立認可
森の里東土地区画整理組合準備委員会から平成26年8月28日付で、まちづくり推進課に申請され、同年11月28日付で組合設立認可が許可されました。
平成27年2月定例会一般質問では、まちづくり推進担当部長は「まちづくり専門監の目標で、事業に着手させるという成果目標がございました」と答弁しています。
許認可の権限移譲
従来、認可権者は神奈川県知事でしたが、権限移譲により厚木市長となっています。この許認可事務は、まちづくり推進担当部が所管しており、自ら業務委託により作成したものを自らが許可するというチェック機能が働かないコンプライアンスに欠けたものとなっています。
この矛盾を一般質問で指摘しましたが、「係が違う。他市でも同様」と答弁しています。係は違っても専門監、課長、担当部長は決裁権を持つ一つのラインと考えるのが普通です。
組合設立の許認可事務を土地区画整理事業の技術的援助として指導・助言・支援している部署に置いている事自体が不可解です。
こだわる事業計画
事業費を抑えるため、負担を抑えた区域設定と公費負担を最大限導入した計画となっています。事業費に充てる保留地単価が安く設定されていることも特色です。平成27年2月定例会において補助金の算定根拠について質問したところ、まちづくり推進担当部長は「事業費のための保留地は100%に近い形で設定しており、残る部分は緑地回り、負担金、助成規則に基づくものを積み上げ計上。さらに地区内の都市計画道路二路線の補助事業ということで、何とか事業を成立するために事業の成立性を探って来たところでございます」と答弁しています。
1、土地区画整理事業運用
指針を逸脱した事業計画
この答弁のとおり、組合のための事業計画を優先した結果、既決定されている都市計画道路厚木環状3号線(幅員22m〜52m 延長677m)は、区域から除外しています。本来、都市計画道路は区域に取込むことが原則です。一般質問で除外した理由を尋ねたところ、「事業が先行している」と苦しい答弁をしています。
現在、道路部が総延長約1700mの建設工事を進めています。総事業費約62億円。森の里東C工区内を通過している事から、宅地造成の仮設道路として一部の区間が組合で使われています。都合の良い様に扱われています。要は道路に隣接している宅地の造成が終わらなければ、道路工事はできない状況です。
2、緑地は負担金で取得
面積38万8029・20平方メートルを厚木市が18億6000万円の負担金で取得することになっています。避難場所として公園は必要ではないか。との質問に「公園は工業専用地域であること。森の里若宮公園の誘致距離が区域南側にかかっている」と担当部長は答弁しています。
3、新設二路線が補助対象
区域内の都市計画道路二路線が総額14億5000万円の補助対象事業です。
4、道路の公共減歩率0%
施行後の道路用地の面積は施行前の道路用地の面積より約360平方メートル少ない。
5、測量増で減歩負担軽減
施行地区の測量増(縄延び)は4万9876・37平方メートル。調整池となる1万4797・73平方メートルを差し引いて、なお3万5000平方メートル以上余りある状況。
当初の総事業費114億円
収入内訳を割合で見ますと、自主財源の保留地処分金65%、公費負担35%です。計画では、保留地予定地の価格は平方メートル当たり約4万6300円となっています。
令和2年9月定例会一般質問では、保留地の価格が周辺の路線価に比べ安い事を指摘しました。この答弁は後述の保留地予定地売買契約で記載しています。
保留地単価を抑えた変更
更に第3回、第4回事業計画変更により総事業費が増額しています。
令和元年10月17日第4回変更では、事業費の総額は、当初計画に比べ19億6100万円増加し、133億6100万円となっています。
自主財源である保留地の単価1平方メートル当たりの価格は約4万8000円です。保留地単価を抑える事で公費負担が増えます。変更後事業計画の収入内訳の割合は、自主財源である保留地処分金約64・2%、公費負担は約35・6%、当初計画には無かったその他収入(賃貸料)約0・2%となっています。
保留地単価を抑えたことで、自主財源にゆとりが生まれ、長期間の事業ではメリットがあり組合運営上好ましい部分もありますが、本事業の様に業務代行方式では組合側のメリットはありません。
保留地予定地売買契約
平成2年9月定例会一般質問では、市街地整備担当部長は保留地の売却状況について、「組合のホームページに掲載されている事業概要によりますと」と前置きして、「平成27年にA工区、平成28年にB工区、平成30年にC工区の保留地売買契約が締結されております。売買価格については民間の契約となっており、市ではお答えできませんが、組合の事業計画書に記載されております保留地処分金85億8500万円を保留地予定地面積17万8150・42平方メートルで割返しますと保留地1平方メートル当たり4万8000円程度になる」と答弁しています。事業のすべてに厚木市が技術的援助として指導・助言・支援し、多額の公金を支出しているにも拘わらず民間契約として、十分な説明ができない。こと自体に問題があると考えます。
Dプロジェクト厚木森の里
保留地予定地を購入した大和ハウス工業(株)が用地分譲紹介を法人向けに行っている名称です。
資料では、開発用地総面積は保留地予定地より約4・9ha多い約22・7haとなっており、保留地を含めた全宅地26万9643・11平方メートルに占める割合は、84・2%であります。ちなみに残り15・8%の民有地約4・3haの多くは二企業が所有していると思われます。
関連事業を含めた総額は206億9532万5千円
森の里東土地区画整理事業では、関連事業費も含め、公費120億8732万5千円が投じられています。この事業がなければ土地活用ができない。と言っても過言ではありません。
組合の自主財源は、保留地処分金・その他合計で、86億800万円(42%)ですので、関連事業を含めた公費負担の割合は58%ほぼ6割となっています。
造成コスト平方メートル約7万6600円
業務代行者である大和ハウス工業(株)が取得した土地は、206億9532万5千円を投じて整備した27 haの宅地の66%に当たる17・8haを85億8500万円で取得し、更に、価格は定かではありませんが4・9haの民有地を買い足していることになります。
組合員数は大きく減少
組合設立認可申請時、土地所有者は76人でしたが、令和2年7月現在26人となっています。その要因として単独では土地利用できない細長い換地(短冊換地)が関係していると考えられます。実質的に土地を有効利用できる権利者は三企業と私は見ています。市民発意(権利者)の都市基盤整備事業を行うとの触込みでしたが、実態は企業による個人施行あるいは共同施行の色合いが濃くなっています。
企業立地と全面的支援
企業誘致には厚木市が全面的にバックアップしています。
平成30年8月31日には帝国ホテル東京にて、厚木市への立地に関心をお持ちの企業様を対象に「厚木市企業立地フォーラム」が開催され、内容には厚木市長トップセールス、特別講演として、衆議院議員 甘利明氏の名も記されています。情報交換もあり、厚木市の意気込みが感じられます。ちなみにこの企画は「厚木市の予算で業者に委託し企画・実施した」と産業振興部長は答弁しています。
事業区域は、企業誘致が進み、企業立地元気アップサポート事業の対象となる場合、投資額に応じて奨励金が支払われています。
土地建物の所有形態は一様ではありませんが、立地企業による土地取得価格は1平方メートル9万円〜13万円以上となっています。仮に、Dプロジェクトが所有する土地22・7haを1平方メートル10万円で売却すると227億円となります。
誰のための事業か
私は、当初から、当地区の希な事業計画と土地区画整理事業運用指針の逸脱を指摘してきました。
また、都市計画道路厚木環状3号線もあり、工業団地であるならば土地区画整理事業の施行者を厚木市とする選択肢もある。ことも本会議一般質問で取り上げてきました。
現在、企業が立地するために取得した土地価格を考えますと、厚木市が施行者であれば全宅地の売却によって公費負担が抑えられ、併せて安価な土地を提供することで、より広範な企業誘致の可能性も否定できません。
この事業は、一体誰のための事業なのか。公共投資は、市民の誰もが均しく享受できるものでなければなりません。
現状把握と分析を怠るな
臨時的任用職員(専門監)を雇用し事業を支援しなければならない程行政が衰退しているのか。
市長は、「まちづくり専門監には確かな知見と経験に基づいた行動力をもって、複数の事業を着実に進めていただいたものと考えております」と答弁しています。
事業の進捗とともに、私の疑念が確信になりつつあります。議員として議会として、しっかり調査し市民への説明責任を果たすべきであると考えています。
厚木市議会議員(会派 あつぎの会) 井上敏夫
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厚木市金田727
TEL:046-222-2151
http://www.atsugi-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1818
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