厚木・愛川・清川 文化
公開日:2023.01.20
量り売り文化、箱で託す
お菓子の千石から別の店へ
昨年末に閉店した本厚木駅東口近くの「お菓子の千石」(千石屋)。創業68年の老舗には、12月31日まで名残を惜しむ人々が行列を作った。建物から看板は撤去されたが、量り売りの象徴とも言える木箱(番重=ばんじゅう)は、都内や埼玉県の駄菓子屋に譲られることになった。
68年前に同店を創業したのは藤原総一郎社長(77)の父である故・聰次さん。戦後中国・天津から引き揚げ、厚木で暮らしていたある日、子どもたちがかりんとうを取り合うのを見て、菓子店の経営を決めたという。
開店からは半世紀以上量り売りのスタイルを貫いてきた。300種類の商品の中でも売れ筋だったのは、いもけんぴやクッキーにリンゴジャムを挟んだジャムサンド。接客する妻のナミヨさん(75)が手際よくソロバンを弾く。はかりも年季が入った品で「1本が大きいジャンボかりんとうの扱いが難しかった」。70年代のオイルショックを境に量り売り店が減り、菓子は袋詰めに変わっていったが「それではスーパーと変わらない」とこだわった。
量り売りの菓子を入れる箱は店では番重(ばんじゅう)と呼ぶ。ガラスの蓋つきで内部はブリキ。20年以上前、真夜中に車が店内に突入する事故があり、壊されてしまった事も。箱作りの職人を見つけ、何とか新調し再開した。
美味しいものを安く、多く、というのが店のスタンスだったが、物価高や国際情勢が響いた。店の一帯にマンションが建つ事も決まり、68年の歴史に幕を下ろすことになった。閉店のお知らせを出すと、花や差し入れを持参してくる人が相次ぎ、海外在住のファンまで駆け付けた。
空になった木箱は3月にオープンする菓子店「ひつじや」(東京都調布市)などが受け継ぐ。同店の宮部圭吾さんは「千石屋さんの歴史や、量り売りの文化を受け継ぎます。祖父も同じ形態の駄菓子店を70年前に経営していました。千石屋さんの名に恥じぬようしっかりやっていきたい」とコメントした。
ピックアップ
意見広告・議会報告
厚木・愛川・清川 ローカルニュースの新着記事
コラム
求人特集
- LINE・メール版 タウンニュース読者限定
毎月計30名様に
Amazonギフトカード
プレゼント! -

あなたの街の話題のニュースや
お得な情報などを、LINEやメールで
無料でお届けします。
通知で見逃しも防げて便利です!












